裁決事例 令和7年9月10日裁決

裁決事例 令和7年9月10日裁決

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令和7年9月10日裁決

取引相場のない株式の譲渡に係る所得税法第59条第1項の「その時における価額」につき、所得税基本通達59-6に定められた方法により算定した価額によることが相当であるとした事例(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第140集

ポイント

 本事例は、発行法人(本件法人)の支配株主と厳しく対立していたとの請求人の主張する事情をもって、所得税基本通達59-6の定めに従った評価方法によっては、本件法人が発行した取引相場のない株式の時価を適正に算定することはできない特別の事情と認めることはできないとしたものである。

要旨

 請求人は、取引相場のない株式(本件株式)の発行法人(本件法人)の支配株主と厳しく対立していたため、本件法人を支配していたとはいえず、支配力を制限された「中心的な同族株主」であって、所得税基本通達59-6《株式等を贈与等した場合の「その時における価額」》の定めによる評価方法では本件株式の客観的交換価値を適正に算定することのできない特別の事情があるから、当該評価方法によるべきではない旨主張する。
 しかしながら、(同通達で借用されている)財産評価基本通達(評価通達)が「同族株主」あるいは「中心的な同族株主」の範囲を形式的に支配従属関係が及ぶとされる一定の範囲のものとし、画一的に同族関係者の範囲を定めることとしているのは、評価を行う者の恣意性の排除及び回帰的かつ大量に発生する課税事務上の迅速な処理の要請並びに課税の公平を確保するという観点からむしろ合理的であるというべきであり、請求人の主張する事情をもって、評価通達の定めに従った評価方法によっては本件株式の時価を適正に算定することのできない特別の事情と認めることはできない。

参照条文等

所得税法第59条 所得税基本通達59-6

参考判決・裁決

最高裁昭和43年10月31日第一小法廷判決(集民92号797頁) 最高裁昭和47年12月26日第三小法廷判決(民集26巻10号2083頁) 最高裁令和2年3月24日第三小法廷判決(集民263号63頁) 東京高裁平成28年9月8日判決(税資266号順号12898) 東京高裁令和3年5月20日判決(税資271号順号13564)

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