裁決事例 令和7年10月15日裁決

裁決事例 令和7年10月15日裁決

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令和7年10月15日裁決

無申告加算税賦課決定処分に理由不備はなく、期限後申告は同決定を予知したものではないときに該当しないとした事例(令和元年分から令和5年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第141集

ポイント

 本事例は、原処分庁が請求人に実地調査の事前通知をし、実地調査前に期限後申告がなされ、その後の実地調査を経て所得税等に係る無申告加算税賦課決定処分がなされたことに関し、原処分に理由不備はなく、期限後申告は同決定を予知したものではないときに該当しないとしたものである。

要旨

 ①請求人は、原処分に係る通知書に記載された理由には、実地の調査(本件実地調査)前に原処分庁が行ったとする調査内容の記載がないから、原処分の理由の提示には重大な瑕疵がある旨主張する。
 しかしながら、原処分の理由には、無申告加算税が賦課されることの基礎となる事実として、対象年分の所得税等の期限後申告書(本件各期限後申告書)の提出年月日、賦課決定の根拠となる法令及び無申告加算税の金額を挙げる等、原処分庁による判断結果並びにその基礎とされた根拠法令及び事実関係の内容が具体的に明示されており、行政庁の判断の慎重と合理性を担保して、その恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らしめて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項の趣旨を充足する程度に具体的に明示されたものといえるから、原処分の理由の提示に不備はない。
 ②請求人は、本件実地調査に係る事前通知(本件事前通知)を受けた後、本件実地調査開始前に本件各期限後申告書を原処分庁に提出しており、原処分庁は、本件各期限後申告書が提出される前に請求人に対して課税標準等又は税額等について何ら示していないから、請求人の本件各期限後申告書の提出は、国税通則法(通則法)第66条《無申告加算税》第1項括弧書に規定する「調査があったことによりその申告に係る国税について決定があるべきことを予知してなされたものでないとき」に該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁は、請求人に勤務先からの給与(本件給与)及び取引先からの報酬(本件報酬)が支払われていること及び請求人の本件各年分の所得税等の確定申告がされていないことを把握した上で、請求人に対して、本件報酬に係る資料を提出するよう依頼するとともに、質問調査等を実施するための日程調整等を行ったこと等からすれば、請求人が本件報酬について確定申告をしていない不適正なものであることが発覚し、決定に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたというべきである。また、請求人は、同取引先に対する実地の調査に係る取引先調査において、税務署職員から、同取引先との取引状況等を聴取されていた上、原処分庁から本件事前通知を受けた際に、本件実地調査の目的が請求人の所得税等の納税義務の有無の確認であることの説明を受け、本件給与以外の所得の有無を問われていたこと等からすれば、やがて決定に至るべきことを認識した上で本件各期限後申告書を提出したものと認められる。よって、本件各期限後申告書の提出は、通則法第66条第1項に規定する「調査があったことによりその申告に係る国税について決定があるべきことを予知してなされたものでないとき」に該当しない。

参照条文等

行政手続法第14条第1項 国税通則法第66条第1項第1号

参考判決・裁決

最高裁昭和38年5月31日第二小法廷判決(民集17巻4号617頁) 最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決(民集65巻4号2081頁) 東京高裁平成14年9月17日判決(訟月50巻6号1791頁) 令和5年12月7日裁決(裁決事例集No.133)

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