裁決事例 令和8年1月9日裁決
株式の差押処分における第三債務者は、当該差押処分に対して「不服がある者」として処分の取消しを求めることができるが、当該株式は滞納者に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例(差押処分・棄却)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、請求人に不服申立適格を認めた上で、差押財産である株式は滞納者に帰属するものではないとの請求人の主張は、仮に滞納者が当該株式を所有していなかったとしても、それは結果的に差押処分が功を奏しないことになるだけであるから、差押処分の違法事由とはならないとしたものである。
要旨
原処分庁は、原処分庁が行った株式の差押処分(本件差押処分)によって、当該株式の発行会社である請求人は自己の権利又は法律上の利益が侵害されていないことから、本審査請求は請求の利益を欠く不適法なものである旨主張する。
しかしながら、株式が滞納処分により差し押さえられた場合には、株主の地位に基づく剰余金配当請求権等の債権に対しても差押処分の効力が及ぶところ、債権の差押処分の場合と同様に、請求人は、本来の債権者である株主に対する債務の履行を禁じられ、直接自己の権利又は法律上の利益を侵害されることになるから、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項に規定する国税に関する法律に基づく処分に「不服がある者」として、本件差押処分の取消しを求めることができる。
ただし、請求人が、滞納者とは別の法人が当該株式を所有していることを理由として、本件差押処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》第1項の要件を満たさない違法な処分である旨主張することに対しては、同項の規定に基づいて滞納者の財産を差し押さえる場合に、その財産が滞納者の有するものとして現に存在していることは要件とされておらず、仮に滞納者が差押財産である当該株式を所有していなかったとしても、それは結果的に本件差押処分が功を奏しないことになるだけであるから、本件差押処分の違法事由とはならない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成12年12月21日判決(判時1735号52頁) 令和7年1月24日裁決(裁決事例集№138) 平成30年6月19日裁決(裁決事例集№111) 平成18年3月30日裁決(裁決事例集№71)
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