裁決事例 令和8年(2026年)
固定資産課税台帳における現況が「宅地」及び「道路」とされている1筆の土地が分筆登記され、その分筆登記後の土地の一部に道路部分があることが認められることから、分筆登記後の土地の課税標準たる不動産の価額を「道路」とし算出した価額と「宅地」とし算出した価額の合計額とした事例(登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の各通知処分・全部取消し及び棄却)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、分筆登記前の土地の固定資産課税台帳における現況が「宅地」及び「道路」とされている1筆の土地が分筆登記されたところ、請求人が登記機関に提出した現況測量図等によれば分筆登記後の土地の一部に道路部分があることが認められることから、分筆登記後の土地の課税標準たる不動産の価額について、当該部分を「道路」として算出した価額とそれ以外の部分を「宅地」として算出した価額の合計額としたものである。
要旨
請求人は、登録免許税の課税標準たる不動産の価額について、分筆前の道路部分が分筆後の各土地(本件各土地)のどの土地に含まれているのか不明だとすれば、本件各土地の全てに均等に道路部分が含まれていると解すべきであるから、分筆前のA土地(本件分筆前A土地)の宅地部分と道路部分の全てを類似不動産の価格として分筆後のA土地(本件分筆後A土地)の価額を算出するべきである旨主張する。一方、原処分庁は、本件分筆後A土地は、地目変更の登記はされておらず登記地目が宅地であったことから、固定資産評価証明書(本件評価証明書)に記載された本件分筆前A土地の宅地部分の地積から単価(本件台帳地積単価)を算定し、これに基づき課税標準の額を認定したものである旨主張する。
しかしながら、請求人等から提出された本件分筆後A土地の地図に準ずる図面及び分筆前の現況測量図によれば、①本件分筆前A土地は傘状の部分と柄状の部分から成る傘を開いた状態のような形状の不整形な土地で、その柄状の部分が本件分筆後A土地に分筆されていること、②分筆前の現況測量図には本件分筆前A土地の柄状の部分が「道路部分」と表記されていること、③本件分筆前A土地の柄状の部分の地積は本件分筆後A土地の地積を超えているものの、同土地の地積は本件評価証明書に記載された公共の用に供する道路部分の地積を超えていることから、本件評価証明書の公共の用に供する道路の地積は、本件分筆後A土地に含まれていると認めるのが相当である。そうすると、本件分筆後A土地の一部は、地方税法第348条《固定資産税の非課税の範囲》第2項本文及び同項第5号の規定により固定資産税が非課税となっていることが明らかな土地といえるから、その部分の課税標準たる不動産の価額は本件台帳地積単価に公衆用道路として100分の30を乗じて算出し、それ以外の部分の課税標準たる不動産の価額は、本件台帳地積単価により宅地として算出し、これらの算出した価額を合計して本件分筆後A土地の課税標準たる不動産の価額とするのが相当である。
参照条文等
登録免許税法第10条 登録免許税法附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項
参考判決・裁決
内縁の妻に売上金額の4割から6割程度の金額を伝え、当該金額を売上金額とした集計表を作成させたことは、国税通則法第68条第1項又は第2項に規定する過少申告行為又は無申告行為そのものとは別の、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠蔽又は仮装に該当し、同法第70条第5項第1号に規定する偽りその他不正の行為にも該当するとした事例(平成29年分から令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、令和2年分から令和4年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の各賦課決定処分、令和3年1月1日から令和3年12月31日まで及び令和4年1月1日から令和4年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、内縁の妻に売上金額の4割から6割程度の金額を伝え、当該金額を売上金額とした集計表を作成させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する過少申告行為又は無申告行為そのものとは別の、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠蔽又は仮装に該当するとしたものである。
要旨
請求人は、売上金額を過少に申告したのは、請求人又は内縁の妻の単なる過誤等であるから、請求人に国税通則法第68条《重加算税》(令和4年法律第4号による改正前のもの)第1項又は第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実及び同法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第5条第1号に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実はない旨主張する。
しかしながら、請求人は、自身が管理する事業用口座の通帳を確認することにより、売上金額を容易に把握できたにもかかわらず、内縁の妻に売上金額の4割から6割程度の金額を伝え、当該金額を売上金額とした集計表並びに当該集計表に基づく確定申告書及び青色申告決算書を作成させたものと認められることから、請求人には「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為があり、かかる行為は「偽りその他不正の行為」にも該当する。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁昭和62年5月8日第二小法廷判決(最高裁判所裁判集民事151号35頁) 最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決(民集48巻7号1379頁) 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁) 和歌山地裁昭和50年6月23日判決(税資82号70頁) 名古屋地裁昭和55年10月13日判決(税資115号31頁)
請求人に対する調査において原処分の取消事由となる違法はないとした事例(①令和元年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、②令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、③令和2年分から令和4年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分、④平成31年1月1日から令和元年12月31日まで、令和2年1月1日から令和2年12月31日まで、令和3年1月1日から令和3年12月31日まで及び令和4年1月1日から令和4年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分・①②棄却、③④一部取消し)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、請求人に対する調査においては、調査を行う客観的な必要性があり、質問検査の時期等については権限を有する税務職員の合理的な選択に委ねられており、調査担当職員が行った調査方法は社会通念上相当であるから、原処分の取消事由となる違法はないとしたものである。
なお、推計の方法による所得金額の計算過程において、推計の基礎とした売上金額の誤りにより類似同業者の抽出を見直した結果、原処分の一部が取り消されたものである。
要旨
請求人は、①請求人に対する税務調査(本件調査)を行う客観的な必要性はないこと、②原処分庁は、申告期限が到来していない期間の調査を行ったことから、本件調査は税務職員の合理的な裁量の範囲内でされたものではないこと及び③仮に、本件調査に客観的な必要性があるとしても、本件調査は私的利益の侵害に当たることを理由に、本件調査には原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。
しかしながら、①本件調査の担当職員は、請求人の申告状況等から、申告義務の有無等を調査する必要があると判断したものであり、本件調査を行う客観的な必要性はあったと認められること、②質問検査の時期等については、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられていること、③本件調査に係る調査方法は社会通念上相当であるといえることから、本件調査において原処分の取消事由となる違法はない。
参照条文等
請求人がした講演、一般財団法人の理事等に係る業務から生じた所得が事業所得には該当せず雑所得に該当するとした事例(令和元年分から令和4年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、請求人がした講演、一般財団法人の理事等に係る業務が相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性を有していたとは認められないことなどからすれば、当該業務から生じた所得は、事業所得には該当せず雑所得に該当するとしたものである。
要旨
請求人は、請求人がした講演、一般財団法人の理事等に係る業務(本件業務)から生じた所得について、上場企業の社外取締役等としての業務(本件役員等業務)も含めて所得区分を判断すれば、事業所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件業務から生じる所得の所得区分を判断するに当たり、本件業務から生じる所得と所得区分を異にする本件役員等業務に係る事実関係をも含めてこれを判断することはできない。そして、本件業務は、有償性、反復性及び継続性並びに請求人の計算と危険による企画遂行性を一定程度有し、一定の物的設備を備えていたほか、請求人が精神的及び肉体的労力を一定程度費やして行っていた活動であるとはいえるものの、営利性に乏しく、本件役員等業務により多額の給与を得ていたことによって本件業務が継続され、また、連年大幅な赤字が続いており、相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性を有していたとは認められないことなどからすれば、本件業務から生じた所得は、事業所得には該当せず、雑所得に該当する。
参照条文等
参考判決・裁決
横浜地裁平成28年11月9日判決(税資266号順号12930) 令和3年11月19日裁決(裁決事例集№125)
再調査審理庁が再調査決定書の謄本を税務代理人ではなく請求人本人の住所に、特定記録郵便で送達したことは適法であり、不服申立期間が経過したことに国税通則法第77条第2項の「正当な理由」はないとした事例(災害による申告、納付等の期限延長申請の却下処分・却下)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、再調査審理庁が再調査決定書の謄本を税務代理人ではなく請求人本人の住所に、特定記録郵便で送達したことは適法であり、不服申立期間が経過したことに国税通則法第77条《不服申立期間》第2項の「正当な理由」はないとしたものである。
要旨
請求人は、①再調査審理庁は、税務代理権限証書に一切の書類を税務代理人(本件代理人)が受領する旨記載されていたにもかかわらず、再調査決定書の謄本(本件謄本)を請求人本人に送達したこと、②再調査審理庁は、本件謄本の送達先を本件代理人に確認する義務があるにもかかわらずこれを怠ったこと、③再調査審理庁が特定記録郵便で本件謄本を送達したことから、本件謄本の送達は違法であり無効である旨主張する。
しかしながら、①再調査の請求人が書類の受領の代理権限を代理人に付与したとしても、再調査の請求人は、本件謄本を受領する権限を失わないというべきであり、②再調査審理庁において、代理人に送達先を確認する義務があると解すべき法令等の規定はなく、③郵便による送達については通常の取扱いによる郵便も許容されており、いかなる取扱いの郵便物としてなされたかによって送達の効力が左右されることはないから、本件謄本の送達は適法である。
また、請求人は、上記事情に加え、自身が本件謄本を現実に受領した日を「送達があった日」と考えていたことから、国税通則法第77条《不服申立期間》第2項ただし書に規定する「正当な理由」がある旨主張する。
しかしながら、請求人が本件謄本を確認してから不服申立期間が経過するまでには十分な時間的余裕があり、本件謄本が届いた日の把握も容易であったことを踏まえると、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるということはできない。
参照条文等
国税通則法第10条第1項及び第2項、第12条第1項及び第2項、第75条第3項、第77条第2項、第84条第10項 不服審査基本通達(国税庁関係)84-16注書、84-18本文
参考判決・裁決
東京高裁昭和53年5月30日判決(訟月24巻9号1844頁) 最高裁平成3年12月12日第一小法廷判決(税資187号334頁) 東京高裁昭和53年9月28日判決(税資102号599頁) 最高裁昭和43年12月24日第三小法廷判決(民集22巻13号3147頁) 最高裁平成18年10月24日第三小法廷判決(民集60巻8号3128頁) 東京地裁昭和53年2月16日判決(税資97号206頁)
請求人が仕入れた商品の仕入金額は、家事関連費に該当せず、全額が必要経費に算入されるとした事例(令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、平成31年1月1日から令和元年12月31日まで、令和2年1月1日から令和2年12月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、請求人が仕入れた商品について、請求人の営む事業に係るインターネット上の販売サイトへの商品の掲載状況や販売実績から全額が必要経費に算入されるとしたものである。
要旨
原処分庁は、請求人がA類商品とB類商品を仕入先からセットで購入した場合において、当該仕入れに係る納品書に具体的な商品名が記載されたA類商品(本件現行商品)と具体的な商品名の記載がなく単一表記されたB類商品(本件プレミア商品)について、①本件現行商品及び本件プレミア商品(本件セット表示商品)のうち、本件プレミア商品は、請求人が私的に収集する目的で購入したものである等の理由から、所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項第1号に規定する家事上の経費(家事費)に該当し、また、②本件セット表示商品の仕入金額は、本件現行商品と本件プレミア商品に係る購入対価の金額であるところ、納品書には、各商品の単価や数量が記載されておらず、事業の遂行上必要な部分を明らかに区分することができないから、本件セット表示商品に係る仕入金額の全額が、同号に規定する家事上の経費に関連する経費(家事関連費)に該当し、必要経費に算入することができない旨主張する。
しかしながら、①本件プレミア商品は、請求人の営む事業に係るインターネットの販売サイト上で販売していたものと推認され、他に販売目的で仕入れたことを否定するに足りる証拠もないから、当該仕入金額は家事費と認められず、また、②請求人は、同サイト上で本件現行商品を実際に販売していたから、当該仕入金額は請求人の事業に直接要した費用といえる。そうすると、本件セット表示商品に係る仕入金額は、必要経費と家事費の性質を併有するものとはいえないから、家事関連費には該当せず、全額が必要経費に算入される。
参照条文等
株式の差押処分における第三債務者は、当該差押処分に対して「不服がある者」として処分の取消しを求めることができるが、当該株式は滞納者に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例(差押処分・棄却)
裁決事例集 第142集
ポイント
本事例は、請求人に不服申立適格を認めた上で、差押財産である株式は滞納者に帰属するものではないとの請求人の主張は、仮に滞納者が当該株式を所有していなかったとしても、それは結果的に差押処分が功を奏しないことになるだけであるから、差押処分の違法事由とはならないとしたものである。
要旨
原処分庁は、原処分庁が行った株式の差押処分(本件差押処分)によって、当該株式の発行会社である請求人は自己の権利又は法律上の利益が侵害されていないことから、本審査請求は請求の利益を欠く不適法なものである旨主張する。
しかしながら、株式が滞納処分により差し押さえられた場合には、株主の地位に基づく剰余金配当請求権等の債権に対しても差押処分の効力が及ぶところ、債権の差押処分の場合と同様に、請求人は、本来の債権者である株主に対する債務の履行を禁じられ、直接自己の権利又は法律上の利益を侵害されることになるから、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項に規定する国税に関する法律に基づく処分に「不服がある者」として、本件差押処分の取消しを求めることができる。
ただし、請求人が、滞納者とは別の法人が当該株式を所有していることを理由として、本件差押処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》第1項の要件を満たさない違法な処分である旨主張することに対しては、同項の規定に基づいて滞納者の財産を差し押さえる場合に、その財産が滞納者の有するものとして現に存在していることは要件とされておらず、仮に滞納者が差押財産である当該株式を所有していなかったとしても、それは結果的に本件差押処分が功を奏しないことになるだけであるから、本件差押処分の違法事由とはならない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成12年12月21日判決(判時1735号52頁) 令和7年1月24日裁決(裁決事例集№138) 平成30年6月19日裁決(裁決事例集№111) 平成18年3月30日裁決(裁決事例集№71)
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