裁決要旨 3家屋及び庭園設備
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 令060019
- 裁決年月日
- 令和6年11月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、相続人が相続(本件相続)により取得した建物(本件建物)及び本件建物などの敷地(本件各土地)については、本件建物が耐震基準を満たさない上、建築当初から構造的に欠陥のある建物であり、県によって倒壊又は崩壊の危険性がある旨公表されたことや、本件各土地を売却する場合には、多額の本件建物の取壊し費用を要するところ、財産評価基本通達(評価通達)にはこれを補正する定めがないから、評価通達の定める方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情がある旨主張する。しかしながら、本件建物は、本件相続開始時において、昭和56年6月1日以降の建築確認において適用される耐震基準(新耐震基準)を満たしていないとはいえるものの、同年5月31日以前に適用される耐震基準(旧耐震基準)を全く満たしていないなど、建築当初から構造的に欠陥を有していたに等しいといえる事情があるとは認められない上、震度6強から7に達する程度の大規模地震に対しては倒壊又は崩壊の危険性があるとしても、震度5強程度の中規模地震によって直ちに倒壊するおそれがあるとまでは認められないから、本件建物の強度が同時期に建築された同種の建物等と異なる脆弱なものであるとも認められず、また、請求人らが本件各土地を売却するためには本件建物の取壊しを要すると考えていたとしても、このことは、請求人らが考える主観的要因にとどまり、本件各土地の価額に影響を及ぼすべき客観的な財産固有の事情とはいえないから、本件建物及び本件各土地のいずれにおいても、評価通達の定める方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるとは認められない。(令6.11.25 関裁(諸)令6-19)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 令040036
- 裁決年月日
- 令和5年5月16日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、相続により取得した建物(本件建物)の評価について、①本件建物の敷地に放置された有害物質を含有したコンデンサー(本件機器)から有害物質が漏えいしていること、②本件建物の敷地内に本件機器が放置されていることにより本件建物が売却できないこと、③本件建物に居住する請求人らの健康被害の可能性や心理的不安があることなどにより財産評価基本通達(評価通達)89《家屋の評価》の定めにより算出した価額から70%の減額をすべきである旨主張する。しかしながら、本件機器から有害物質が漏えいしていた事実は認め難く請求人らの主張は前提を欠く上、本件機器は本件建物の定着物ではなく、本件機器の存在により本件建物の売却ができない事実は認められず、また、請求人らが本件機器による心理的不安を感じていることなどは請求人らに係る事情であって客観的な本件建物固有の事情といえるものではなく、評価通達1《評価の原則》(3)に定める「その財産の価額に影響を及ぼすべき事情」には当たらないから、評価通達89の定めにより算出した価額から70%を減額すべき理由はない。(令5. 5.16 関裁(諸)令4-36)
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 令040012
- 裁決年月日
- 令和5年3月7日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803050
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/5庭園設備
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№130
要旨
○ 請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)は個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できないため交換価値がなく、交換価値がない庭園設備には財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》(3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当である。そして、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備であり、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として、本件通達により評価すべきである。さらに、請求人は、本件庭園設備は、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないため交換価値はない旨主張する。しかしながら、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。(令5. 3. 7 仙裁(諸)令4-12)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 令030059
- 裁決年月日
- 令和4年2月4日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803990
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/6その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、会社(本件会社)が所有していた建物(本件建物)の耐震性が不十分であり、本件建物に係る新規の1か月以上の長期の貸付けができない状態では、事実上、本件建物を賃貸事務所やホテルとして経営することはできず、本件建物の建替えは不可避であったから、本件会社の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)(本件純資産価額)の計算上、本件建物には、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法によるべきではない特別な事情がある旨主張する。しかしながら、本件建物は、課税時期において、本件会社による取壊しが予定されていた建物であったということはできるものの、建物の所有者が当該建物の取壊しを予定していたとしても、そのことによって直ちに当該建物の客観的な交換価値に影響があるものとはいえず、本件建物が、課税時期において、その一部が店舗、事務所又は住居として賃貸されていたことなどからすると、本件建物は、課税時期において、建物としての効用を果たしており、本件建物には相応の経済的価値があったと認められるから、本件純資産価額の計算上、本件建物について評価通達に定める評価方法によるべきではない特別な事情があるとは認められない。(令4. 2. 4 東裁(諸)令3-59)
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 令020014
- 裁決年月日
- 令和3年2月24日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、相続により取得した同族会社の株式の価額を評価するに当たり、当該同族会社が所有する店舗及び事務所(本件各建物)の価額を財産評価基本通達(評価通達)89《家屋の評価》の定めによる評価方法で評価すると、評価通達89は適正な時価を計算する内容とはなっておらず、その内容が見直されたこともない旨、また、固定資産評価基準は、一般常識では考えられない耐用年数等を定めており、時価との乖離が著しいから、不動産鑑定士が査定した各評価額で評価すべきである旨主張する。しかしながら、評価通達89が固定資産評価基準によって決定された固定資産税評価額を基に家屋の価額を評価する方法を採っていることは、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、本件各建物に係る固定資産税評価額は適正に算定されており、かつ、請求人の主張する特別の事情は、評価通達に定める評価方法によっては適正な時価を求めることができない特別な事情とは認められないことから、本件各建物の評価額は、評価通達89の定めによる評価方法に従い算定された価額とすべきである。(令3. 2.24 仙裁(諸)令2-14)
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 令020009
- 裁決年月日
- 令和2年11月20日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○請求人は、同族会社の株式を評価するに当たり、同族会社が所有する店舗及び事務所(本件各建物)の相続税評価額を財産評価基本通達89《家屋の評価》の定めによる評価方法で評価すると時価との乖離が著しいことから、不動産鑑定士が査定した評価額で評価すべきである旨主張する。しかしながら、財産評価基本通達89が固定資産評価基準によって決定された固定資産税評価額を基に家屋の価額を評価する方法を採っていることは、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、本件各建物に適用される財産評価基本通達89及び固定資産評価基準が一般的な合理性を失わず、本件各建物に係る固定資産税評価額は適正に算定されており、かつ、当該評価方法によっては適正な時価を求めることができない特別の事情も認められないことから、本件各建物の相続税評価額は、財産評価基本通達89の定めによる評価方法に従い評価すべきである。 (令2.11.20仙裁(諸)令2-9)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平300084
- 裁決年月日
- 平成31年1月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、貸家である建物(本件建物)には、賃借人により耐震補強工事が行われていること及び賃貸料水準が落ちていないことから、本件建物の固定資産税評価額を基に財産評価基本通達(評価通達)の定めにより評価すべきである旨主張し、請求人は、本件建物は、尋常あらざる毀損を受けたことから、その価額は評価通達の定めにより評価した価額から原状回復費用相当額を控除した金額で評価すべきであり、本件建物の敷地(本件土地)は、評価通達の定めにより評価した価額から本件建物の撤去費用相当額に80%を乗じた金額を控除すべきである旨主張する。しかしながら、本件建物の価額は設備の一部を撤去する改造工事により減価が生じていると認められるが、本件建物の固定資産税評価額はこれを反映していないから、本件建物の価額は、国税庁ホームページ掲載の財産評価基準の定めに基づき、本件建物の固定資産税評価額に同改造工事が行われたことによる影響を反映させて評価することが相当であり、本件土地の価額は、本件建物には補強工事が行われていることなどから、評価通達の定めにより評価した価額となる。(平31. 1.25 東裁(諸)平30-84)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平280069
- 裁決年月日
- 平成28年12月7日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803020
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/2建築中の家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№105
要旨
○ 請求人らは、相続財産である貸家(本件貸家)について、相続開始日前から実施していた改修工事(本件改修工事)は、建物の躯体の改善ではなく通常の維持管理のための修繕であり、貸家の価値を増加させるものではないから、本件貸家は相続開始日における固定資産税評価額に基づいて評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件改修工事は、1Kタイプの居室2室の2DKタイプの居室1室への改修や、バルコニーの設置等を行うものであり、故障箇所の修繕など、いわゆる現状回復を目的とした通常の維持管理のための工事であるとは認められず、その工事費用は本件貸家の価値を増加させるための費用であると認めるのが相当である。なお、改修工事により価値が増加した場合の家屋の評価については、本件改修工事が未着手である貸家部分の評価額(固定資産評価額)に、本件改修工事により価値が上昇した部分の評価額(家屋の評価に関する財産評価基本通達89−2《文化財建造物である家屋の評価》及び同93《貸家の評価》の定めに準じて、本件改修工事の費用から課税時期までの期間に応じて減価償却した残額の100分の70に相当する金額)を加えた金額によって評価することになるが、既に家屋に投下された建築費用相当額は、相続財産として申告された前払金から控除するのが相当である。(平28.12. 7 東裁(諸)平28-69)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平280062
- 裁決年月日
- 平成28年12月2日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、相続により取得した家屋(本件家屋)の価額について、本件家屋は、東日本大震災後、部屋の天井に亀裂が入るなど、多数の損耗が多く見られる状態にあることなど、財産評価基本通達(評価通達)の定める方法によらないことが正当として是認されるような特別の事情があるから、本件家屋の価額は、評価通達89《家屋の評価》に基づいて固定資産税評価額と同額とするのではなく、零円である旨主張する。しかしながら、市長村長が地方税法第388条《固定資産に係る総務大臣の任務》第1項に規定する固定資産の評価基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に従って決定した家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができないなどの特別の事情が存しない限り、同法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第5号に規定する価格すなわち適正な時価と推認するのが相当であり、これに依拠して家屋を評価する評価通達は相当と認められる。そして、本件家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準の定めに基づき算定した価額であり、その算定過程に不合理な点は認められない。また、本件家屋の固定資産税評価額は、東日本大震災の影響を考慮した上で決定されたものであり、当審判所が調査したところ、天井等におおむね請求人の主張する損傷は認められるものの、本件家屋の躯体は保持されていることや、本件建物が築40年を優に超えていることなどの事情を総合的に考慮すれば、このような損耗状況につき、経年減点補正を超えて更なる減価を要すると認められるものはない。これらを踏まえると、本件家屋について特別の事情があるとは認められず、請求人らの主張は、適正な時価であるという推認を妨げ、あるいは推認を覆すものではない。したがって、本件家屋の固定資産税評価額は適正な時価と推認され、相続税法第22条《評価の原則》に規定する「時価」として相当である。(平28.12. 2 東裁(諸)平28-62)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平280025
- 裁決年月日
- 平成28年11月17日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、相続財産である家屋(本件家屋)に相続開始前に施された工事(本件工事)は、主として本件家屋のバリアフリー化を企図した生活に通常必要な修繕であり、本件家屋の価値を高めるための改築とはいえないから、財産評価基本通達(評価通達)89《家屋の評価》(本件通達)を適用する基礎となる本件家屋の固定資産税評価額(本件家屋評価額)は、相続開始時の状況に応じて付されたものである旨主張する。しかしながら、本件工事は、本件家屋の既存の基礎、柱、梁及び屋根を残し、それ以外の部分については解体・撤去した上で、新たに外壁、床、建具、天井、室内壁等を構築し、内装の仕上げをし、設備を設置するなど、家屋全般にわたり改築を施されたものであり、その工事請負代金に照らしても、その価値を相当に増加させるものであったと認められる。しかるに、本件家屋評価額は、本件工事が施された後も現在に至るまで変更がなく、本件工事による価値の増加が本件家屋評価額に反映されていないことからすれば、本件家屋は、本件相続開始日において、増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋であったと認めるのが相当である。このような場合、本件通達の定めにより評価しても、適正な時価を算定することはできないから、本件家屋は、評価通達5《評価方法の定めのない財産の評価》の定めに基づき、家屋に固定資産税評価額が付されていない場合等の評価方法を定めた評価通達89−2《文化財建造物である家屋の評価》の定めを参考に評価することが合理的である。(平28.11.17 大裁(諸)平28-25)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平270054
- 裁決年月日
- 平成28年4月25日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、相続により取得した建物(本件建物)は、被相続人から請求人が代表を務める法人(本件法人)に賃貸されたものであり、被相続人と本件法人との間で賃貸借契約書が取り交わされ、賃料(本件賃料)及び敷金が支払われていたことからすると、本件建物は、対価を伴う賃貸借契約に基づき貸借されていた建物であるから、財産評価基本通達93《貸家の評価》に定める貸家に該当する旨主張する。しかしながら、民法第595条《借用物の費用の負担》第1項によれば、使用貸借においては、目的物の通常の必要費は借主が負担することとされているが、毎月の賃料の額は、本件建物及びその敷地に係る固定資産税及び都市計画税の1月当たりの額とほぼ同額であるから、これらの賃料としては、著しく低廉な金額であり、これは借主が負担すべき必要費の域を出ないものといわざるを得ない。そうすると、この額をもって本件建物の使用収益に対する対価と認めるべき特段の事情のない限り、本件建物に係る被相続人と本件法人との契約は使用貸借と認めるのが相当である。そして、被相続人と本件法人の代表取締役である請求人が親子であることや、請求人が本件賃料の振り込まれた口座の預金を費消していたことからしても、本件賃料の額をもって本件建物の使用収益に対する対価と認めるべき特段の事情があるとは認められない。なお、当審判所の調査の結果によっても、請求人が主張する敷金の支払の事実は認められない。以上のことから、本件建物は、賃貸借契約の目的となっている家屋ではないから、財産評価基本通達に定める貸家には該当しない。(平28. 4.25 関裁(諸)平27-54)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平270033
- 裁決年月日
- 平成28年2月23日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803990
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/6その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、被相続人が賃貸していた建物(本件貸家)及び居宅として利用していた建物(本件自用家屋)は、その相続の開始時が東日本大震災によるり災から半年程度であり、ひびが入るなど一部損壊していることなどからすれば、その存在が土地の価値を低下させるものとなっているところ、この実態を適切に評価した不動産鑑定士作成の鑑定評価書(本件鑑定書)は、本件貸家及び本件自用家屋(本件各家屋)を取り壊しその敷地を更地とすることが当該土地の最有効使用であると判断したことから、本件各家屋の価額はいずれも零円である旨主張するとともに、仮に、本件鑑定書によらない場合であっても、東日本大震災の影響が考慮された平成24年度の固定資産税評価額を基に時価を評価すべきである旨主張する。しかしながら、原処分庁が、課税処分における課税価格等の算定が財産評価基本通達の定めに従って相続財産の価額を評価したものであることを、同通達の定めに即して主張・立証した場合には、その課税処分における相続財産の価額は「時価」すなわち客観的交換価値を適正に評価したものと事実上推認することができるところ、この推認を覆すには、不動産鑑定士による合理性を有する鑑定評価等の証拠資料に基づいて立証される必要がある。これを本件についてみると、本件貸家は相続の開始時において賃貸され、また、本件自用家屋は相続の開始の直前まで被相続人の居宅として利用され、いずれも有効に使用収益されていたことからすれば、本件各家屋の相続の開始時における時価が零円であるとは考え難い。そして、本件鑑定書も、本件各家屋の価額を零円と評価したものとは認められない。次に、請求人が予備的に主張する点については、本件各家屋に係る固定資産税は、前年度の評価額に対して、経年による減価をしたことは認められるが、り災による減価をしたとは認められないことから、理由がない。以上のことから、財産評価基本通達の定めにより評価した本件各家屋の価額に、時価を上回る違法があるとは認められない。(平28. 2.23 関裁(諸)平27-33)
- 支部名
- 札幌
- 裁決番号
- 平260007
- 裁決年月日
- 平成27年6月1日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、貸家である家屋(本件家屋)の価額について、不動産鑑定士による鑑定評価(本件鑑定評価)に基づいて合理的に算定された価格を基に、本件家屋の貸家としての現況を考慮し、財産評価基本通達において一律に認められている借家権割合を乗じて算定した価額(本件請求人評価額)が相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価として相当である旨主張する。しかしながら、市町村長が地方税法第388条《固定資産税に係る総務大臣の任務》第1項に規定する固定資産の評価基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に従って決定した家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準が定める評価方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情等の存しない限り、地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第5号に規定する価格すなわち適正な時価であると推認するのが相当であり、これに依拠して家屋を評価する財産評価基本通達には合理性が認められる。これを本件についてみると、本件家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき適正に算定していると認められ、また、本件家屋には、その価値を減少させるような大きな損傷は認められないことから、本件家屋の固定資産税評価額は、適正な時価である。したがって、これに基づき財産評価基本通達93《貸家の評価》により評価した本件家屋の価額は、相続税法第22条に規定する時価として相当である。なお、本件鑑定評価には、不動産鑑定評価基準における鑑定評価の手法を尽くしていないなど合理性が認められないから、これに基づき算定された価格を基礎とする本件請求人評価額は、相続税法第22条に規定する時価として相当でない。(平27. 6. 1 札裁(諸)平26-7)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平260020
- 裁決年月日
- 平成26年8月19日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803030
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/3使用貸借に係る家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、被相続人が親しい女性(D)に使用貸借により貸し付けている家屋(本件建物)及びその敷地(本件土地)の使用関係は、実質的には、被相続人がDに対して重婚的内縁関係における婚姻費用(被相続人が負担すべき生活費)を負担するという負担付の使用貸借関係であり、当該負担は公租公課の負担よりはるかに大きな負担であるとして、Dの本件建物及び本件土地(本件不動産)の使用権は、通常の使用借権よりも強い権利である旨、したがって、本件不動産の価額の評価について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情があるとして、本件不動産の評価額は零円である旨主張する。しかしながら、いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げないというものであるところ、Dの答述等によれば、被相続人は、Dに対して、本件建物に無償で居住させたり、多額とまではいえない贈り物や小遣い程度の金銭を渡したりしており、被相続人とDは、約40年近くにわたり、親密な関係にあったものと認められる一方で、Dは、自らの収入で生計を立てており、被相続人から生活費の援助を受けたことはない。また、当審判所の調査の結果によっても、被相続人と被相続人の妻が事実上離婚状態にあったとは認められない。そうすると、そもそも被相続人とDが重婚的内縁関係にあったとは認められないから、請求人の主張はその前提を欠くものである。そして、被相続人とDの本件建物の使用に係る契約書をみると、Dが本件建物を使用貸借することについて定めたものと認められるから、本件不動産の評価につき財産評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情はない。(平26. 8.19 東裁(諸)平26-20)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平250061ほか 1件
- 裁決年月日
- 平成26年6月4日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803990
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/6その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、賃貸用マンション及びその附属建物(本件各建物)について、本件各建物の敷地に面する路線が冠水したことにより浸水し、完全な水分除去が難しく建物本来の耐用性が毀損するため、不動産鑑定士のアドバイスに基づいて評価額を10%減額すべきである旨主張する。しかしながら、本件各建物の受電設備等は、浸水被害後相続開始前に修理が完了しており、相続開始時において、本件各建物は、引き続き賃貸用マンションとして使用していることからすれば、本件各建物の客観的交換価値が10%下落したといえるほど、建物本来の耐用性が毀損したとまではいえない。また、不動産鑑定士によるアドバイスを受けた旨の主張については、不動産鑑定士が責任ある立場で行った鑑定評価等があるものでもない。そうすると、本件各建物の相続開始時における評価について、財産評価基本通達を適用して固定資産税評価額に基づき評価することが、実質的な租税負担の公平を害することが明らかな場合に当たるとまではいえないから、本件各建物は、同通達89《家屋の評価》に基づき評価を行うのが相当である。(平26. 6. 4 大裁(諸)平25-61)
- 支部名
- 札幌
- 裁決番号
- 平240006
- 裁決年月日
- 平成24年12月13日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、贈与により取得した家屋(本件家屋)の価額は、本件家屋は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)に規定する耐用年数を経過しているものであるから、同省令に規定する残存価額(取得価額に残存割合である100分の10を乗じて算定した価額)を基礎として評価すべきであり、財産評価基本通達89《家屋の評価》(本件通達)の定めにより固定資産評価額を基礎として算定した価額(本件評価額)は時価を上回るものである旨主張する。しかしながら、固定資産税における価格とは時価をいうから、家屋の固定資産評価額が合理的な評価方法により算定されていると認められる限り、これを家屋の客観的交換価値と認めるのが相当であるところ、本件家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき、一般的な合理性を有するものと解されている評価方法(家屋の再建築費評点数を基礎としてこれに家屋の損耗の状態等による減点を行う評価方法)により適正に算定されていることから、客観的な交換価値を正確に反映したものと認められる。したがって、本件通達の定めにより当該固定資産税評価額を基に算定した本件評価額が時価を上回るとは認められない。また、耐用年数省令は減価償却費を計算するためのものであって、客観的交換価値を計算するためものではないから、請求人の主張する耐用年数省令が規定する残存価額は、本件家屋の客観的な交換価値を反映したものとは認められない。(平24.12.13 札裁(諸)平24-6)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平240071
- 裁決年月日
- 平成24年10月10日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№89
要旨
○ 原処分庁は、本件建物の評価に当たり、本件建物の賃貸借は一時使用のためのものであることが明らかであるから、本件建物には借家権が存せず、貸家として評価することはできない旨主張する。しかしながら、本件建物の賃貸借契約に係る契約書の文言や当該賃貸借契約締結後の更新状況からすると、本件被相続人が、当該賃貸借契約を特に短期間に限定して存続させる意思を有していたとは認め難いし、賃借人においても、当該賃貸借契約を特に短期間に限定して存続させる意思を有していたとも認め難い。加えて、当該賃貸借契約については、賃貸人から当該被相続人に対して、高額の保証金が差し入れられた上で、相当額の賃料の支払が継続されており、また、当該賃貸借契約の内容が通常の賃貸借契約と大きく異なるとはいい難い。これらの事実からすれば、当該賃貸借契約は、当事者双方が賃貸借契約を短期間に限って存続させる合意をしたものであることが客観的に明らかであるとは認められず、むしろ、当事者双方において、特段の事情が生じない限り継続することを前提とした賃貸借契約関係を継続してきたものと認められる。したがって、当該賃貸借契約は、一時使用のための賃貸借であるとは認められないから、本件建物は、財産評価基本通達93《貸家の評価》の定めにより貸家として評価すべきである。(平24.10.10 東裁(諸)平24-71)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平210067
- 裁決年月日
- 平成22年6月7日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件建物の評価に当たり、①著しい損耗、②収益物件としての価値の無さ、③廃業後長年経過している病院という心証の悪さが、財産評価基本通達89《家屋の評価》を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情に当たる旨主張する。しかしながら、財産評価基本通達89においては、家屋は固定資産税評価額に基づき評価することとされており、その固定資産税評価額については、3年ごとの基準年度に、再建築価格を基準として、これに家屋の減耗の状況による補正及び需給事情による補正を行って評価する方法が採られているところ、本件建物についても、これらの補正が必要であるか否かを判断した上で必要な補正が行われているから、請求人指摘の事情等はすべて固定資産税評価額において考慮されていることとなり、財産評価基本通達89においても、請求人指摘の事情等はすべて考慮されていることになる。したがって、本件建物について、財産評価基本通達89を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情があるとは認められない。(平22. 6. 7 大裁(諸)平21-67)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平210020
- 裁決年月日
- 平成21年10月23日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集No.78・469ページ
要旨
○ 原処分庁は、本件家屋につき、①相続開始の7か月前以降公共料金の使用実績がないこと、②賃料の支払を確認できないこと、③請求人の本件家屋は空家であり本件相続開始日において貸していない旨の原処分庁の調査担当者に対する申述をもって、賃貸されていたとは認められない旨主張する。しかし ①については、仮に賃借人が、電気、ガス、水道を使用していなかったとしても、不在により使用がなかったにすぎず、本件家屋が賃貸借の目的となっていない理由とはならない。また、②の賃料の支払を確認できないことについては、確かに、相続開始前の数年間支払いがないことが認められるが、当審判所の調査したところによっても、被相続人が賃借人に対し借地借家法第26条第1項及び同法第27条1項に規定する解約の申入れをした事実は認められず、借地借家法には、賃料が未払である事実があれば解約されたものとみなす規定もないから、家賃が未払になった後も賃貸借契約は継続していたというほかはない。さらに、③の請求人の原処分庁の調査担当者への申述についても、賃借人は、本件相続開始日において本件家屋に荷物を置いて占有しており、父親の死亡後被相続人から本件家屋を賃借したものであり、請求人も相続開始後3年8月経過したころ、賃借人から残置家財の放棄承諾書の送付を受けるなど、同人の適法な占有を前提とするかのような行為をもしていることと整合せず、本件家屋が本件相続開始日において賃貸の用に供されていないことを裏付けるに足りるものではない。したがって、これらの原処分庁の主張は採用することができない。(平21.10.23 大裁(諸)平21-20)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平200049ほか 2件
- 裁決年月日
- 平成20年10月2日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件物件は、車庫として賃貸していることなどの特別の事情が存するから、その敷地権及び建物の価額を財産評価基本通達に基づいて画一的に、居住用マンション等と同じ方法で評価するのは不適当であり、不動産鑑定士による鑑定評価額によるのが相当である旨主張する。しかしながら、財産評価基本通達による画一的な評価は、納税者間の公平、納税者の便宜、徴税費用の節減という見地からみて合理的であり、これを形式的にすべての納税者に適用して財産の評価を行うことは、租税負担の実質的公平をも実現することができ租税平等主義にかなうものであるから、著しく課税の公平を欠くことが明らかであるなどの特別の事情がある場合を除き、財産評価基本通達の定めに基づき評価した価額をもって時価とすることが相当である。本件についてみると、本件建物は固定資産税評価額が居住用のマンションと比較して30%程度低く定められており、本件建物の構造が固定資産税評価額に反映されていると推認できる。そして、本件建物は周辺のマンションにおいて一般的な構造の車庫である。また、本件土地の利用方法は、本件土地の存する地域において標準的なマンション敷地であり、本件被相続人の有する持分が他の区分所有者が有する共有持分と質的に異なることはない。したがって、財産評価基本通達により評価したのでは適正な時価が求められず、著しく課税の公平を欠くことが明らかであるとはいえない。請求人は2件の取引事例を掲げるが、この事例は、その所在地も異なり、本件物件と類似性もないことから、これらの取引事例をもって、本件物件の客観的交換価値が低いことが明らかであるとはいえない。以上のことから、請求人が主張する上記事情のみによって、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別な事情があるとは認められない。また、請求人が示した本件鑑定評価額についても、収益価格を鑑定評価額としていることについて明確な根拠がないこと等から本件物件の時価であるともいえない。(平20.10. 2 東裁(諸)平20-49)
- 支部名
- 高松
- 裁決番号
- 平190025
- 裁決年月日
- 平成20年6月12日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人が相続開始直前に被相続人預金口座から出金し請求人預金口座へ入金した現金5,000,000円は請求人の被相続人に対する立替金の清算である旨主張する。しかしながら、請求人が被相続人が入院した平成16年5月29日の直後の同年6月2日以降、○○○○円の残高があった被相続人預金口座から順次引き出し請求人預金口座に入金した現金7,000,000円のうち当該5,000,000円以外の2,000,000円は、当該5,000,000円と同様、被相続人の入院後被相続人が死亡する前日までに引き出されたものであるところ、被相続人の妻が当該2,000,000円を現金取得したとして相続税の申告をしていることからすると、当該2,000,000円と当該5,000,000円との性格が異なるとする特段の理由も見当たらないこと及び請求人預金口座に入金された7,000,000円は相続開始時点においてその全額が請求人預金口座に残っていることからすれば、当該7,000,000円全額が相続財産たる現金とするのが相当である。(平20. 6.12 高裁(諸)平19-25)
- 支部名
- 沖縄
- 裁決番号
- 平190005
- 裁決年月日
- 平成20年5月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、貸家である家屋(以下「本件貸家」という。)を財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)93《貸家の評価》に基づき評価することは、相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価を適正に反映していないことから、請求人評価額(以下「鑑定評価額」という。)が時価である旨主張する。ところで、貸家の価額を家屋の価額が自用のものとした場合の評価額から、その家屋が自用のものとした場合の評価額に借家権割合を乗じた金額を控除して評価する趣旨は、建物が借家権の目的となっている場合、賃貸人は、自己の必要性などの正当事由がある場合を除いて、賃貸借契約の更新を拒んだり、解約の申し入れをすることができないから、借家権を消滅するためには立退料の支払を要することになること、借家人は、建物の引渡しを受けた後には第三者に対する対抗要件を有するから、建物に借家権を付着させたままで建物を譲渡する場合には、譲受人は、その建物の利用について制約を受けることとなるので、通常の取引に比べ、譲渡代金が安くなるなど、 その建物の経済的価値が借家権の目的となっていない建物に比して低下することを考慮して、借家人の有する権利を控除しているものと解される。そして、借家権割合は、貸家に係る売買実例価額及び精通者意見価格等を基にして各国税局長が定めているものであるから、家屋の価額から家屋の価額に借家権割合を乗じた金額を控除して評価することとしている評価通達に定める貸家の評価方法は、相続税法第22条の趣旨及び評価通達等の考え方に照らし合理性を有するものと認められる。なお、評価通達93に定める評価方法は、一般的に合理性を有するものと解されるところ、当該定めを適用して評価することが著しく不適当と認められる特別な事情が存する場合、すなわち、評価通達により算定される建物の評価額が客観的交換価値を上回る場合には、他の合理的な評価方法により時価を求めるべきものと解されている。この場合の評価通達により算定される建物の評価額が客観的交換価値を上回っているといえるためには、これを下回る不動産鑑定評価が存在し、その鑑定評価が一応公正妥当な鑑定理論に従っているというのみでは足りず、同一の建物について他の不動産鑑定評価があればそれとの比較において、また、近隣における取引事例等の諸事情に照らして、評価通達により算定された建物の評価額が客観的交換価値を上回ることが明らかであると認められることを要するものと解されている。以上のことから、本件貸家を評価通達93に基づき評価することは合理的であり、また、評価通達により難い特別な事情は認められないから、本件貸家については、評価通達93により評価すべきであり、当該定めに基づいて評価した原処分庁評価額は相当と認められる。(平20. 5.21 沖裁(諸)平19-5)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平190035
- 裁決年月日
- 平成20年3月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、建物の固定資産税評価額は、経年による減価、敷地内における建物の配置、建物と敷地の規模の対応関係等による価値の差等の特殊な場合の建物の減価が反映されていないため、適正な時価を反映していないから、財産評価基本通達を適用して本件各建物等を評価することが著しく不適当であり、評価額は鑑定評価額による価額の零円である旨主張する。しかしながら、財産評価基本通達による家屋の価額は、客観的交換価値を正確に反映しているものであると認められ、また仮に、請求人らが主張するように、固定資産税評価額に、敷地内における建物の配置、建物と敷地の規模の対応関係等による価値の差等による建物の減価が反映されていないとしても、このことをもって財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情があるとはいえず、このような事情を考慮して特定の納税者あるいは特定の財産についてのみ評価通達に定める方法以外の方法によって評価を行うことは、かえって納税者の租税負担の実質的公平を欠くことになるから、本件各建物等の評価については、財産評価基本通達の定めに基づき評価するのが相当である。(平20. 3.25 関裁(諸)平19-35)
- 支部名
- 熊本
- 裁決番号
- 平180006ほか 1件
- 裁決年月日
- 平成18年12月4日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、「相続税法第22条が規定する時価は、取得財産の客観的交換価値であると解されるが、家屋の客観的交換価値は、経年劣化により減価するにもかかわらず、固定資産税評価額はほとんど減価しないことなどから、固定資産税評価額を基に家屋の価額を算定する財産評価基本通達89は、相続税法第22条が規定する時価を表すものとはいえず、また、家屋の価額は、財産評価基本通達89により一律に評価すべきではなく、請求人らのように自らが客観的交換価値である相続税法第22条の時価を算定可能な場合は、その方法を認めるべきである。」旨主張する。 しかしながら、相続財産の時価を客観的な基準に基づき算定することとしている財産評価基本通達の定めは、その評価方法が合理的である限り、相続税法が規定する時価に合致するものであるから、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情がない限り、一般基準としての財産評価基本通達に基づき各種財産の時価を評価することには合理性があると認められ、また、財産評価基本通達に定められた評価方式が形式的にすべての納税者に適用されることによって租税負担の実質的な公平をも実現することができるものと解され、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情がないにもかかわらず、特定の納税者あるいは特定の財産についてのみ財産評価基本通達に定める方法以外の方法によって評価を行うことは、納税者の実質的負担の公平を欠くことになり、許されないものと認められるところ、本件家屋の評価に当たり、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情は認められないことから、本件家屋については財産評価基本通達89の定めに従って評価するのが相当である。(平18.12. 4 熊裁(諸)平18-6)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平180010
- 裁決年月日
- 平成18年7月11日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集 №72・534ページ
要旨
○ 財産評価基本通達上の家屋とは、住宅、店舗、工場その他の建物を指称しており、固定資産税の課税客体となる家屋、つまり、不動産登記法の建物とその意義を同じくするもので、建物登記簿に登記されるべき建物と同趣旨であると解される。 そして、地方税法第341条及び「地方税法の施行に関する取り扱いについて」(昭和29年5月13日自乙発第22号、自治庁次官通達)並びに不動産登記事務取扱手続準則第136条第1項の定めを総合すると、「建物」の認定基準としては、①土地の定着性、②外気遮断性及び③用途性を一応要求してはいるものの、②については、少なくとも周壁については、必ずしも完全な外気遮断性があることまでをも要求するものではなく、その建築物の用途や利用状況を勘案して、完全な周壁を設けないことがその建造物の効用上合理的であり、完全な周壁を設けると帰って不都合が生じると認められる場合には、要件を緩和して認定することを妨げない趣旨であると解するのが相当である。 ところで、請求人は、本件土地に存する建物は、壁も床もない作業場を覆うだけの設備であり家屋に該当しない旨主張し、現に本件建物は東側の周壁がなく開放されている。 しかしながら、本件建物は、事務所兼居宅部分と造船等のための作業場で構成され、作業場は屋根を有しており、また、本件建物は、二方に周壁を有し、一方は居宅兼事務所に接しているから、外気遮断性を有しているとみるのが相当であり、さらに、柱を有し土地に定着した造船施設との用途性も満たしているのであるから、本件建物は家屋と認定するのが相当であるところ、周壁がないのは、船の陸揚げや造船等のために作業場としての効用上必要かつ合理的であるからであり、これら必要性及び合理性が認められる以上、本件建物のこのような構造は、家屋に該当するかどうかの判定に影響を与えるものではないから、請求人の主張は採用できない。(平18. 7.11 大裁(諸)平18-10)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平160284
- 裁決年月日
- 平成17年6月21日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、建物の評価に当たっては、相続税の法定申告期限の日の属する年度の固定資産税評価額を基に評価すべきである旨主張する。しかしながら、相続により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時、すなわち、相続開始日を基準とすることに照らせば、建物の価額を財産評価基本通達の定めに基づいて評価するに当たり、相続税の法定申告期限の日の属する年度の固定資産税評価額を基とすることはできない。(平17.6.21東裁(諸)平16-284)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平160053
- 裁決年月日
- 平成17年3月17日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、ゴルフ練習場として被相続人の同族会社に賃貸されている本件家屋は、その相当部分を占める打席の部分の一面に周壁がないことから、借地借家法にいう建物に該当せず、これを貸家として評価することはできない旨主張する。しかしながら、本件家屋の使用目的がゴルフ練習場である以上、打席部分の一面に周壁がないことは当然であって、本件家屋は土地に定着し、一面の周壁がない打席部分以外は周壁と屋蓋を有し、ゴルフ練習場という営業の用に供することのできる永続性のある建造物であるから、借地借家法にいう建物とするのが相当であり、貸家として評価すべきである。(平17.3.17関裁(諸)平16-53)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平150035
- 裁決年月日
- 平成15年12月19日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803010
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/1自用家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、本件家屋は相続開始日において使用されておらず、また、使用される見込みもないから、収益性に着目して評価された固定資産税評価額を基に評価するという財産評価基本通達の定めによらず、鑑定評価額で評価すべきである旨主張する。しかし、財産の評価は、特別な事情がない限り財産評価基本通達の定めに従い行うことが合理的であると解されている。本件においては、①家屋が使用されていないことが本件家屋の客観的な交換価値に影響を及ぼすということはできず、②相続開始時において本件家屋を取り壊す予定があったとは認められないから、本件家屋を取り壊すことを前提として本件家屋の価額をないものとする鑑定評価により本件家屋を評価することには合理性が認められないことからすれば、財産評価基本通達の定めにより本件家屋を評価し難い特別な事情があるとは認められない。本件家屋の固定資産税評価額は、所有者に認知され争いのないものであることから、財産評価基本通達89の定めに従い本件家屋を評価することが相当であり、請求人らの主張には理由がない。(平15.12.19関裁(諸)平15-35)
- 支部名
- 高松
- 裁決番号
- 平150001
- 裁決年月日
- 平成15年7月1日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803030
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/3使用貸借に係る家屋
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、長男の家族が居住の用に供している建物を、長男の家族が賃貸借による占有権で本件被相続人が死亡時以前より同居していることから、借家権付の建物として評価すべきである旨主張する。しかしながら、長男は本件被相続人との間でこの建物の賃貸借契約の締結や家賃を支払った事実はない旨及びこの建物の固定資産税は、本件被相続人が支払った旨答述をしているところで、財産評価基本通達93では、貸家は、評価した家屋の価額から借家権割合及び家屋に係る賃貸割合を連乗した金額を控除して評価する旨定めており、この通達でいう借家権とは、借地借家法の適用のある家屋賃借人の有する賃借権をいい、家屋の無償使用はこれに含まれないと解される。これは、使用貸借による建物の使用権は、借家権のように法律上の手厚い保護を与えられておらず、また、当事者の好意、信頼関係等にその基盤を持ち、交換経済の範囲外にあるものなので、借家権のように客観的な交換価値を有するものとみることが困難であることから、その価値は零として評価するのが相当であると解されているからであり、この通達の取扱いは、当審判所においても相当と認めるところである。そこで、上述の事実を通達の定めに照らして判断すると、本件被相続人と長男との間において賃貸借契約の締結及び家賃の授受もないので、この建物の使用権は使用貸借に基づくものと認められるから、この建物を借家権付の建物として評価することはできない。(平15.7.1高裁(諸)平15-1)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平120078
- 裁決年月日
- 平成13年1月31日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 1 請求人らは、本件相続開始日現在で入居申込書の提出があるものの、賃貸借契約書の取り交わされていなかった本件6部屋について、被相続人と各賃借人との間には口頭による賃貸借契約が成立していたから、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、入居申込書の提出の段階では、賃借人の入居したいという意思表示は認められるものの、賃貸人の承諾の意思表示があったものとは認められず、この時点で賃貸借契約が成立したとは認められず、仮に、賃貸人の承諾があったとしても、当該入居申込書は単に当事者間で賃貸借契約を結ぶ予約をしたものにすぎないと認められることから、入居申込書の提出をもって事実上の賃貸借契約の締結とすることはできない。2 請求人らは、措法通69の3−2及び特定転用の規定などを引用して、財産の評価に当たっては、単に相続開始時における状態のみを考慮すべきでなく、本件建物を建築するに至った経緯や利用状況等を考慮すべきである旨主張する。しかしながら、措法通69の3−2及び特定転用の規定については、本件建物及びその敷地の評価に何ら影響を与えるものでなく、また、請求人らの主張する事情は、いずれも主観的な事情であって、本件6部屋の客観的な交換価値に影響を及ぼすものとは認められず、たとえ、そのような事情があったとしても、相続開始時点において本件6部屋が借家権の目的となっていない部屋である以上、相続開始時点における客観的交換価値は、借家権のないものと認めざるを得ない。3 請求人らは、本件6部屋は、まさに、改正評基通26の(注)2に定める「一時的に賃貸されていなかった(空室であった)状態」に当たり、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件相続開始日における空室部分については、いまだ貸付け実態が現存していないため、借家人の有する敷地支配権が発生しているものとは認められず、また、その時点では、貸付行為が継続的に行われているものと客観的にも認定できないことから、同通達26(注)2の「賃貸されている各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」には当たらない。4 請求人らは、諸事情をしんしゃくすれば、本件建物の全室を貸家として評価するに足りる合理的な理由があるものと判断すべきであり、借家権の存在のみを基準とした評基通93の定めを弾力的に運用すべきであるとし、仮にそれができないのであれば、評基通6の定めを適用すべきである旨主張する。しかしながら、当該諸事情に請求人らの主張する合理的な理由があるとは認められず、評基通6は、この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価についての定めであり、本件建物は評基通93の定めにより正当に評価できるのであるから、評基通6の定めを適用する必要性は認められない。5 請求人らは、本件4部屋についても、諸事情をしんしゃくすれば、本件6部屋と同様に貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件相続開始日以前に入居申込書が提出されたとする本件6部屋について貸家として評価はできないのであるから、本件相続開始後に入居申込みがされた本件4部屋についても貸家として評価できないことは明らかである。6 以上のことから、本件相続開始日現在で現に賃貸の用に供せられていた部分、すなわち、借家権の目的なっている部屋のみ貸家として評価し、それ以外の部屋については自用家屋として評価するのが相当と認められる。(平13.1.31関越(諸)平12−78)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平100186
- 裁決年月日
- 平成11年6月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、本件建物の貸借は実質的には賃料と立退料とを相殺している有償の貸借であるから、本件建物については、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、①本件和解条項にはその旨の記載はないこと、②他に本件明渡猶予期間中の貸借が有料であること並びに借家人が本件建物を明け渡す際に立退料の支払を要すること及びその金額について定めた証拠も認められないこと、更に③貸主は借家人が建物を明け渡す場合に常に立退料の支払をしなければならないわけではないことからすれば、賃料と立退料とが相殺されているとは認められず、むしろ、本件和解に至る経緯及び本件和解条項によれば、本件明渡猶予期間は、本件被相続人の本件建物の明渡請求が起こり、その解決方法として本件建物の明渡しを一時猶予する趣旨で裁判上の和解によって約定されたものである。そして、本件和解条項によれば、借家人は本件明渡猶予期間は本件建物を無償で使用できるとされており、本件明渡猶予期間中の貸借は無償使用と認められるので、本件建物には借家法又は借地借家法に基づく建物の賃借人が有する権利、すなわち、借家権はないといわざるを得ないから、本件建物は貸家には当たらない。(平11. 6.21東裁(諸)平10-186)
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