裁決要旨 4貸家
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 令020014
- 裁決年月日
- 令和3年2月24日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、相続により取得した同族会社の株式の価額を評価するに当たり、当該同族会社が所有する店舗及び事務所(本件各建物)の価額を財産評価基本通達(評価通達)89《家屋の評価》の定めによる評価方法で評価すると、評価通達89は適正な時価を計算する内容とはなっておらず、その内容が見直されたこともない旨、また、固定資産評価基準は、一般常識では考えられない耐用年数等を定めており、時価との乖離が著しいから、不動産鑑定士が査定した各評価額で評価すべきである旨主張する。しかしながら、評価通達89が固定資産評価基準によって決定された固定資産税評価額を基に家屋の価額を評価する方法を採っていることは、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、本件各建物に係る固定資産税評価額は適正に算定されており、かつ、請求人の主張する特別の事情は、評価通達に定める評価方法によっては適正な時価を求めることができない特別な事情とは認められないことから、本件各建物の評価額は、評価通達89の定めによる評価方法に従い算定された価額とすべきである。(令3. 2.24 仙裁(諸)令2-14)
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 令020009
- 裁決年月日
- 令和2年11月20日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○請求人は、同族会社の株式を評価するに当たり、同族会社が所有する店舗及び事務所(本件各建物)の相続税評価額を財産評価基本通達89《家屋の評価》の定めによる評価方法で評価すると時価との乖離が著しいことから、不動産鑑定士が査定した評価額で評価すべきである旨主張する。しかしながら、財産評価基本通達89が固定資産評価基準によって決定された固定資産税評価額を基に家屋の価額を評価する方法を採っていることは、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、本件各建物に適用される財産評価基本通達89及び固定資産評価基準が一般的な合理性を失わず、本件各建物に係る固定資産税評価額は適正に算定されており、かつ、当該評価方法によっては適正な時価を求めることができない特別の事情も認められないことから、本件各建物の相続税評価額は、財産評価基本通達89の定めによる評価方法に従い評価すべきである。 (令2.11.20仙裁(諸)令2-9)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平300084
- 裁決年月日
- 平成31年1月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、貸家である建物(本件建物)には、賃借人により耐震補強工事が行われていること及び賃貸料水準が落ちていないことから、本件建物の固定資産税評価額を基に財産評価基本通達(評価通達)の定めにより評価すべきである旨主張し、請求人は、本件建物は、尋常あらざる毀損を受けたことから、その価額は評価通達の定めにより評価した価額から原状回復費用相当額を控除した金額で評価すべきであり、本件建物の敷地(本件土地)は、評価通達の定めにより評価した価額から本件建物の撤去費用相当額に80%を乗じた金額を控除すべきである旨主張する。しかしながら、本件建物の価額は設備の一部を撤去する改造工事により減価が生じていると認められるが、本件建物の固定資産税評価額はこれを反映していないから、本件建物の価額は、国税庁ホームページ掲載の財産評価基準の定めに基づき、本件建物の固定資産税評価額に同改造工事が行われたことによる影響を反映させて評価することが相当であり、本件土地の価額は、本件建物には補強工事が行われていることなどから、評価通達の定めにより評価した価額となる。(平31. 1.25 東裁(諸)平30-84)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平270054
- 裁決年月日
- 平成28年4月25日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、相続により取得した建物(本件建物)は、被相続人から請求人が代表を務める法人(本件法人)に賃貸されたものであり、被相続人と本件法人との間で賃貸借契約書が取り交わされ、賃料(本件賃料)及び敷金が支払われていたことからすると、本件建物は、対価を伴う賃貸借契約に基づき貸借されていた建物であるから、財産評価基本通達93《貸家の評価》に定める貸家に該当する旨主張する。しかしながら、民法第595条《借用物の費用の負担》第1項によれば、使用貸借においては、目的物の通常の必要費は借主が負担することとされているが、毎月の賃料の額は、本件建物及びその敷地に係る固定資産税及び都市計画税の1月当たりの額とほぼ同額であるから、これらの賃料としては、著しく低廉な金額であり、これは借主が負担すべき必要費の域を出ないものといわざるを得ない。そうすると、この額をもって本件建物の使用収益に対する対価と認めるべき特段の事情のない限り、本件建物に係る被相続人と本件法人との契約は使用貸借と認めるのが相当である。そして、被相続人と本件法人の代表取締役である請求人が親子であることや、請求人が本件賃料の振り込まれた口座の預金を費消していたことからしても、本件賃料の額をもって本件建物の使用収益に対する対価と認めるべき特段の事情があるとは認められない。なお、当審判所の調査の結果によっても、請求人が主張する敷金の支払の事実は認められない。以上のことから、本件建物は、賃貸借契約の目的となっている家屋ではないから、財産評価基本通達に定める貸家には該当しない。(平28. 4.25 関裁(諸)平27-54)
- 支部名
- 札幌
- 裁決番号
- 平260007
- 裁決年月日
- 平成27年6月1日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、貸家である家屋(本件家屋)の価額について、不動産鑑定士による鑑定評価(本件鑑定評価)に基づいて合理的に算定された価格を基に、本件家屋の貸家としての現況を考慮し、財産評価基本通達において一律に認められている借家権割合を乗じて算定した価額(本件請求人評価額)が相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価として相当である旨主張する。しかしながら、市町村長が地方税法第388条《固定資産税に係る総務大臣の任務》第1項に規定する固定資産の評価基準並びに評価の実施の方法及び手続(固定資産評価基準)に従って決定した家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準が定める評価方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情等の存しない限り、地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第5号に規定する価格すなわち適正な時価であると推認するのが相当であり、これに依拠して家屋を評価する財産評価基本通達には合理性が認められる。これを本件についてみると、本件家屋の固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき適正に算定していると認められ、また、本件家屋には、その価値を減少させるような大きな損傷は認められないことから、本件家屋の固定資産税評価額は、適正な時価である。したがって、これに基づき財産評価基本通達93《貸家の評価》により評価した本件家屋の価額は、相続税法第22条に規定する時価として相当である。なお、本件鑑定評価には、不動産鑑定評価基準における鑑定評価の手法を尽くしていないなど合理性が認められないから、これに基づき算定された価格を基礎とする本件請求人評価額は、相続税法第22条に規定する時価として相当でない。(平27. 6. 1 札裁(諸)平26-7)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平240071
- 裁決年月日
- 平成24年10月10日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№89
要旨
○ 原処分庁は、本件建物の評価に当たり、本件建物の賃貸借は一時使用のためのものであることが明らかであるから、本件建物には借家権が存せず、貸家として評価することはできない旨主張する。しかしながら、本件建物の賃貸借契約に係る契約書の文言や当該賃貸借契約締結後の更新状況からすると、本件被相続人が、当該賃貸借契約を特に短期間に限定して存続させる意思を有していたとは認め難いし、賃借人においても、当該賃貸借契約を特に短期間に限定して存続させる意思を有していたとも認め難い。加えて、当該賃貸借契約については、賃貸人から当該被相続人に対して、高額の保証金が差し入れられた上で、相当額の賃料の支払が継続されており、また、当該賃貸借契約の内容が通常の賃貸借契約と大きく異なるとはいい難い。これらの事実からすれば、当該賃貸借契約は、当事者双方が賃貸借契約を短期間に限って存続させる合意をしたものであることが客観的に明らかであるとは認められず、むしろ、当事者双方において、特段の事情が生じない限り継続することを前提とした賃貸借契約関係を継続してきたものと認められる。したがって、当該賃貸借契約は、一時使用のための賃貸借であるとは認められないから、本件建物は、財産評価基本通達93《貸家の評価》の定めにより貸家として評価すべきである。(平24.10.10 東裁(諸)平24-71)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平210020
- 裁決年月日
- 平成21年10月23日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集No.78・469ページ
要旨
○ 原処分庁は、本件家屋につき、①相続開始の7か月前以降公共料金の使用実績がないこと、②賃料の支払を確認できないこと、③請求人の本件家屋は空家であり本件相続開始日において貸していない旨の原処分庁の調査担当者に対する申述をもって、賃貸されていたとは認められない旨主張する。しかし ①については、仮に賃借人が、電気、ガス、水道を使用していなかったとしても、不在により使用がなかったにすぎず、本件家屋が賃貸借の目的となっていない理由とはならない。また、②の賃料の支払を確認できないことについては、確かに、相続開始前の数年間支払いがないことが認められるが、当審判所の調査したところによっても、被相続人が賃借人に対し借地借家法第26条第1項及び同法第27条1項に規定する解約の申入れをした事実は認められず、借地借家法には、賃料が未払である事実があれば解約されたものとみなす規定もないから、家賃が未払になった後も賃貸借契約は継続していたというほかはない。さらに、③の請求人の原処分庁の調査担当者への申述についても、賃借人は、本件相続開始日において本件家屋に荷物を置いて占有しており、父親の死亡後被相続人から本件家屋を賃借したものであり、請求人も相続開始後3年8月経過したころ、賃借人から残置家財の放棄承諾書の送付を受けるなど、同人の適法な占有を前提とするかのような行為をもしていることと整合せず、本件家屋が本件相続開始日において賃貸の用に供されていないことを裏付けるに足りるものではない。したがって、これらの原処分庁の主張は採用することができない。(平21.10.23 大裁(諸)平21-20)
- 支部名
- 高松
- 裁決番号
- 平190025
- 裁決年月日
- 平成20年6月12日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人が相続開始直前に被相続人預金口座から出金し請求人預金口座へ入金した現金5,000,000円は請求人の被相続人に対する立替金の清算である旨主張する。しかしながら、請求人が被相続人が入院した平成16年5月29日の直後の同年6月2日以降、○○○○円の残高があった被相続人預金口座から順次引き出し請求人預金口座に入金した現金7,000,000円のうち当該5,000,000円以外の2,000,000円は、当該5,000,000円と同様、被相続人の入院後被相続人が死亡する前日までに引き出されたものであるところ、被相続人の妻が当該2,000,000円を現金取得したとして相続税の申告をしていることからすると、当該2,000,000円と当該5,000,000円との性格が異なるとする特段の理由も見当たらないこと及び請求人預金口座に入金された7,000,000円は相続開始時点においてその全額が請求人預金口座に残っていることからすれば、当該7,000,000円全額が相続財産たる現金とするのが相当である。(平20. 6.12 高裁(諸)平19-25)
- 支部名
- 沖縄
- 裁決番号
- 平190005
- 裁決年月日
- 平成20年5月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、貸家である家屋(以下「本件貸家」という。)を財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)93《貸家の評価》に基づき評価することは、相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価を適正に反映していないことから、請求人評価額(以下「鑑定評価額」という。)が時価である旨主張する。ところで、貸家の価額を家屋の価額が自用のものとした場合の評価額から、その家屋が自用のものとした場合の評価額に借家権割合を乗じた金額を控除して評価する趣旨は、建物が借家権の目的となっている場合、賃貸人は、自己の必要性などの正当事由がある場合を除いて、賃貸借契約の更新を拒んだり、解約の申し入れをすることができないから、借家権を消滅するためには立退料の支払を要することになること、借家人は、建物の引渡しを受けた後には第三者に対する対抗要件を有するから、建物に借家権を付着させたままで建物を譲渡する場合には、譲受人は、その建物の利用について制約を受けることとなるので、通常の取引に比べ、譲渡代金が安くなるなど、 その建物の経済的価値が借家権の目的となっていない建物に比して低下することを考慮して、借家人の有する権利を控除しているものと解される。そして、借家権割合は、貸家に係る売買実例価額及び精通者意見価格等を基にして各国税局長が定めているものであるから、家屋の価額から家屋の価額に借家権割合を乗じた金額を控除して評価することとしている評価通達に定める貸家の評価方法は、相続税法第22条の趣旨及び評価通達等の考え方に照らし合理性を有するものと認められる。なお、評価通達93に定める評価方法は、一般的に合理性を有するものと解されるところ、当該定めを適用して評価することが著しく不適当と認められる特別な事情が存する場合、すなわち、評価通達により算定される建物の評価額が客観的交換価値を上回る場合には、他の合理的な評価方法により時価を求めるべきものと解されている。この場合の評価通達により算定される建物の評価額が客観的交換価値を上回っているといえるためには、これを下回る不動産鑑定評価が存在し、その鑑定評価が一応公正妥当な鑑定理論に従っているというのみでは足りず、同一の建物について他の不動産鑑定評価があればそれとの比較において、また、近隣における取引事例等の諸事情に照らして、評価通達により算定された建物の評価額が客観的交換価値を上回ることが明らかであると認められることを要するものと解されている。以上のことから、本件貸家を評価通達93に基づき評価することは合理的であり、また、評価通達により難い特別な事情は認められないから、本件貸家については、評価通達93により評価すべきであり、当該定めに基づいて評価した原処分庁評価額は相当と認められる。(平20. 5.21 沖裁(諸)平19-5)
- 支部名
- 熊本
- 裁決番号
- 平180006ほか 1件
- 裁決年月日
- 平成18年12月4日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、「相続税法第22条が規定する時価は、取得財産の客観的交換価値であると解されるが、家屋の客観的交換価値は、経年劣化により減価するにもかかわらず、固定資産税評価額はほとんど減価しないことなどから、固定資産税評価額を基に家屋の価額を算定する財産評価基本通達89は、相続税法第22条が規定する時価を表すものとはいえず、また、家屋の価額は、財産評価基本通達89により一律に評価すべきではなく、請求人らのように自らが客観的交換価値である相続税法第22条の時価を算定可能な場合は、その方法を認めるべきである。」旨主張する。 しかしながら、相続財産の時価を客観的な基準に基づき算定することとしている財産評価基本通達の定めは、その評価方法が合理的である限り、相続税法が規定する時価に合致するものであるから、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情がない限り、一般基準としての財産評価基本通達に基づき各種財産の時価を評価することには合理性があると認められ、また、財産評価基本通達に定められた評価方式が形式的にすべての納税者に適用されることによって租税負担の実質的な公平をも実現することができるものと解され、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情がないにもかかわらず、特定の納税者あるいは特定の財産についてのみ財産評価基本通達に定める方法以外の方法によって評価を行うことは、納税者の実質的負担の公平を欠くことになり、許されないものと認められるところ、本件家屋の評価に当たり、財産評価基本通達を適用して評価することが特に不合理と認められる特別な事情は認められないことから、本件家屋については財産評価基本通達89の定めに従って評価するのが相当である。(平18.12. 4 熊裁(諸)平18-6)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平160053
- 裁決年月日
- 平成17年3月17日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、ゴルフ練習場として被相続人の同族会社に賃貸されている本件家屋は、その相当部分を占める打席の部分の一面に周壁がないことから、借地借家法にいう建物に該当せず、これを貸家として評価することはできない旨主張する。しかしながら、本件家屋の使用目的がゴルフ練習場である以上、打席部分の一面に周壁がないことは当然であって、本件家屋は土地に定着し、一面の周壁がない打席部分以外は周壁と屋蓋を有し、ゴルフ練習場という営業の用に供することのできる永続性のある建造物であるから、借地借家法にいう建物とするのが相当であり、貸家として評価すべきである。(平17.3.17関裁(諸)平16-53)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平120078
- 裁決年月日
- 平成13年1月31日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 1 請求人らは、本件相続開始日現在で入居申込書の提出があるものの、賃貸借契約書の取り交わされていなかった本件6部屋について、被相続人と各賃借人との間には口頭による賃貸借契約が成立していたから、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、入居申込書の提出の段階では、賃借人の入居したいという意思表示は認められるものの、賃貸人の承諾の意思表示があったものとは認められず、この時点で賃貸借契約が成立したとは認められず、仮に、賃貸人の承諾があったとしても、当該入居申込書は単に当事者間で賃貸借契約を結ぶ予約をしたものにすぎないと認められることから、入居申込書の提出をもって事実上の賃貸借契約の締結とすることはできない。2 請求人らは、措法通69の3−2及び特定転用の規定などを引用して、財産の評価に当たっては、単に相続開始時における状態のみを考慮すべきでなく、本件建物を建築するに至った経緯や利用状況等を考慮すべきである旨主張する。しかしながら、措法通69の3−2及び特定転用の規定については、本件建物及びその敷地の評価に何ら影響を与えるものでなく、また、請求人らの主張する事情は、いずれも主観的な事情であって、本件6部屋の客観的な交換価値に影響を及ぼすものとは認められず、たとえ、そのような事情があったとしても、相続開始時点において本件6部屋が借家権の目的となっていない部屋である以上、相続開始時点における客観的交換価値は、借家権のないものと認めざるを得ない。3 請求人らは、本件6部屋は、まさに、改正評基通26の(注)2に定める「一時的に賃貸されていなかった(空室であった)状態」に当たり、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件相続開始日における空室部分については、いまだ貸付け実態が現存していないため、借家人の有する敷地支配権が発生しているものとは認められず、また、その時点では、貸付行為が継続的に行われているものと客観的にも認定できないことから、同通達26(注)2の「賃貸されている各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」には当たらない。4 請求人らは、諸事情をしんしゃくすれば、本件建物の全室を貸家として評価するに足りる合理的な理由があるものと判断すべきであり、借家権の存在のみを基準とした評基通93の定めを弾力的に運用すべきであるとし、仮にそれができないのであれば、評基通6の定めを適用すべきである旨主張する。しかしながら、当該諸事情に請求人らの主張する合理的な理由があるとは認められず、評基通6は、この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価についての定めであり、本件建物は評基通93の定めにより正当に評価できるのであるから、評基通6の定めを適用する必要性は認められない。5 請求人らは、本件4部屋についても、諸事情をしんしゃくすれば、本件6部屋と同様に貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、本件相続開始日以前に入居申込書が提出されたとする本件6部屋について貸家として評価はできないのであるから、本件相続開始後に入居申込みがされた本件4部屋についても貸家として評価できないことは明らかである。6 以上のことから、本件相続開始日現在で現に賃貸の用に供せられていた部分、すなわち、借家権の目的なっている部屋のみ貸家として評価し、それ以外の部屋については自用家屋として評価するのが相当と認められる。(平13.1.31関越(諸)平12−78)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平100186
- 裁決年月日
- 平成11年6月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 400803040
- 争点
- 8財産の評価/3家屋及び庭園設備/4貸家
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、本件建物の貸借は実質的には賃料と立退料とを相殺している有償の貸借であるから、本件建物については、貸家として評価すべきである旨主張する。しかしながら、①本件和解条項にはその旨の記載はないこと、②他に本件明渡猶予期間中の貸借が有料であること並びに借家人が本件建物を明け渡す際に立退料の支払を要すること及びその金額について定めた証拠も認められないこと、更に③貸主は借家人が建物を明け渡す場合に常に立退料の支払をしなければならないわけではないことからすれば、賃料と立退料とが相殺されているとは認められず、むしろ、本件和解に至る経緯及び本件和解条項によれば、本件明渡猶予期間は、本件被相続人の本件建物の明渡請求が起こり、その解決方法として本件建物の明渡しを一時猶予する趣旨で裁判上の和解によって約定されたものである。そして、本件和解条項によれば、借家人は本件明渡猶予期間は本件建物を無償で使用できるとされており、本件明渡猶予期間中の貸借は無償使用と認められるので、本件建物には借家法又は借地借家法に基づく建物の賃借人が有する権利、すなわち、借家権はないといわざるを得ないから、本件建物は貸家には当たらない。(平11. 6.21東裁(諸)平10-186)
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