裁決要旨 1実質所得者課税
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 令060062
- 裁決年月日
- 令和7年6月19日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、不動産の貸付けから生ずる収益(本件収益)には、請求人以外の第三者に帰属するものが含まれている旨主張する。しかしながら、請求人は当該主張を裏付ける証拠を提出せず、また、不動産の所有者は請求人であり、不動産の賃貸借契約書の賃貸人に請求人の氏名が記載されているほか、貸付けに係る賃料等は全て請求人名義の預金口座に入金されていることなどからすれば、本件収益が請求人に帰属することは明らかである。(令7. 6.19 大裁(所・諸)令6-62)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 令060061
- 裁決年月日
- 令和7年6月18日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、建設業等を営む請求人の勤務先(本件勤務先)の取引先(本件取引先)の預金口座から請求人が設立した法人(本件会社)の預金口座(本件会社口座)へ入金された各金員(本件各金員)は、本件会社の事業活動に対し支払われたものであり、本件各金員に係る収益は、本件会社に帰属するもので、請求人には帰属しない旨主張する。しかしながら、本件各金員は、請求人が本件勤務先における地位を利用し、本件取引先と共謀して本件会社が本件取引先の下請会社であるかのように装って本件会社名の請求書を発行するなどし、本件勤務先から実体のない工事代金を本件取引先を経由して本件会社口座に入金させていたものであり、また、本件各金員は、本件会社の事業の使途に使用された形跡もない。さらに、請求人は、本件会社口座から自由に本件各金員を出金し、個人的使途に費消していたことからすれば、本件会社は単なる名義人にすぎず、実際に本件各金員に係る収益を享受する者は請求人であるから、本件各金員に係る収益は、請求人に帰属すると認められる。(令7. 6.18 大裁(所)令6-61)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 令050023
- 裁決年月日
- 令和6年1月9日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、請求人が関わっていた事業(本件事業)に係る所得は請求人に帰属すると主張する。しかしながら、本件事業を経営していると認められる者(事業主)が誰であるかという点は、実質所得者課税の原則を定めた所得税法第12条《実質所得者課税の原則》の趣旨に鑑み、事業許可等の名義のみならず、事業資産や事業資金の調達・管理、利益の管理・処分状況、従業員の雇用等事業の運営に関する諸状況を総合的に勘案して判定すべきであるところ、本件事業に係る売上げ及び経費の管理や利益金の処分状況、従業員の雇用並びに経営方針の決定等の状況からすると、本件事業の事業主は請求人ではなく、請求人と同居していた者であると認められ、請求人は、各種届出及び賃貸借契約等の単なる名義人であって、他の従業員と同程度の立場で本件事業に従事していたにすぎないというべきである。したがって、本件事業に係る所得は請求人に帰属せず、同様に、消費税等の課税期間の本件事業に係る資産の譲渡等の対価を享受する者も請求人であるとは認められない。(令6. 1. 9 大裁(所・諸)令5-23)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 令050019
- 裁決年月日
- 令和5年12月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、暗号資産取引によって得た所得を自らに帰属するものとして申告したものであるが、暗号資産の原資となった金員である請求人の母が管理していた家族名義の貯金口座内の金員は、請求人と請求人の母が2分の1ずつ出えんしたものであることなどに照らせば、暗号資産取引から生じた利益の2分の1は請求人の母に帰属する旨主張する。しかしながら、所得税法第12条《実質所得者課税の原則》の規定する実質所得者課税の原則に基づき検討するに、①請求人の母は、暗号資産取引に係る意思決定に対して請求人から報告を聞く程度以上の強い関与をしたとは認められず、暗号資産取引を請求人と共同して行っていたとはいえないこと、②請求人の母は、暗号資産取引に係るパソコンの操作を行うことができず、暗号資産を請求人と共同して管理していたとは認められないこと、また、③申告によって生じる所得税等は相当多額であるところ、請求人は、申告をしたこと及び税金の納付方法について請求人の母に説明したかをよく覚えていない旨の答述に加え、請求人のみが申告していることから、請求人の母の行動は暗号資産取引から生じた利益の一部が帰属する主体の行動として説明ができない。そして、請求人と請求人の母との間で暗号資産取引によって得られた利益や損失の分配に関する取決めが行われたと認めるに足りる証拠も見当たらないこと等を踏まえれば、請求人は、請求人の母が上記の貯金口座から出金した金員を請求人の母から受領して自己のものとした上で、自己の判断と責任で暗号資産取引を行っていたと見るのが自然であり、暗号資産取引によって得た利益の一部を母が享受していたとはいえず、当該利益のうち請求人の母に帰属する部分があると認めることはできない。(令5.12.21 関裁(所)令5-19)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 令050033
- 裁決年月日
- 令和5年10月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401020
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/2他人名義による不動産の貸付
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人が米国で設立した有限責任会社(本件LLC)名義の米国に所在する不動産1及び不動産2(本件各不動産)の賃貸から生ずる収益について、本件LLCが「一人法人」であって、実質的には請求人個人と同視すべきであること及び米国において本件各不動産に関する所得を請求人の所得として申告していることから、請求人に帰属する旨主張する。しかしながら、①本件LLCが本件各不動産の所有名義人であること、②本件LLCが不動産1について購入資金の借り入れや抵当権の設定等をしていること、③本件LLCが不動産2について管理委託契約の当事者となっていること、④本件各不動産について、本件LLCが単なる名義人であることをうかがわせる事情も見当たらないこと等に照らせば、本件LLCが本件各不動産の実質的な法律上の所有者であり、かつ、賃貸人であるといえることから、本件各不動産の賃貸から生ずる収益は、本件LLCに帰属すると認められ、請求人に帰属しない。(令5.10.25 東裁(所)令5-33)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 令050004
- 裁決年月日
- 令和5年9月6日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、民事調停法第17条《調停に代わる決定》に基づく裁判所の決定を根拠として、飲食店に係る事業(本件事業)の経営者はAであって、請求人は本件事業から生ずる収益及び本件事業に係る資産の譲渡等の対価を享受していなかった旨主張する。しかしながら、本件事業から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、所得税法第12条《実質所得者課税の原則》の趣旨に鑑み、事業許可等の名義のみならず、事業資産や事業資金の調達及び管理、利益の管理及び処分状況、従業員の雇用等、事業の運営に関する諸事情を総合的に勘案して判定すべきであるところ、請求人から提出された証拠資料等及び当審判所の調査によっても、請求人がAからの指示の下で本件事業を行っていたこと、請求人が売上金をAに渡していたこと、請求人がAから給与の支給を受けていたこと等の請求人の主張を認める事情はいずれもその存在が認定できない。したがって、本件事業を請求人以外の者が経営していたとはいえず、請求人が本件事業から生ずる収益及び本件事業に係る資産の譲渡等の対価を享受していなかったと認定することはできない。(令5. 9. 6 名裁(所・諸)令5-4)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 令050001
- 裁決年月日
- 令和5年7月14日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人又は請求人が代表者を務める各法人(本件各法人)名義でされた金地金等(本件各金地金等)の取引(本件各取引)から生ずる所得及び請求人又は本件各法人名義で行われた金の先物取引の差金等決済に係る各損益(本件各差損益)について、本件各法人名義で行われたものは、本件各法人が法律上有効に行ったものであり、本件各取引から生ずる所得及び本件各差損益を請求人は享受していないから、本件各取引から生ずる所得及び本件各差損益等は請求人に帰属しない旨主張する。しかしながら、本件各金地金等は資産運用としてキャピタルゲイン(売却益)を得ることを目的としているにもかかわらず、請求人は本件各金地金等を請求人名義で売却して、その売却代金を得ているものであり、各購入代金を本件各法人が課税仕入れとして消費税等の還付を受けることを目的としたものであったといえ、本件各金地金等から生ずる収益を本件各法人が得ることを目的としたものであったとはいえない。したがって、本件各取引は、本件各金地金等の売却益を得ることなどを目的に、請求人の資金を原資として行われた一連の取引というべきであるから、本件各取引は請求人に帰属し、本件各取引から生ずる収益は請求人に帰属する。ただし、本件各取引の一部については、請求人が収益を取得することは予定されていたといえず、本件各法人名義で行われた金の先物取引に係る各損益について、請求人が口座から自己のために出金したなど、本件各法人以外の者が享受したと認めるべき事情も認められないから、本件各取引の一部は請求人に帰属しない。(令5. 7.14 大裁(所・諸)令5-1)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 令050001
- 裁決年月日
- 令和5年7月14日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人の母から旅館業を承継していないし、旅館の資金管理や従業員に対する指揮命令は、家業である旅館業に従事しているために行っているにすぎず、請求人が旅館業や飲食店営業の各許可を受けていることや、融資の正式審査前に金融機関の担当者の指摘に従って差し入れた書面に旅館の代表者と記載されていることをもって、請求人が旅館の経営主体であるとみることはできず、旅館の売上げは請求人に帰属しない旨主張する。しかしながら、平成27年以降、旅館の不動産は請求人の母から請求人が代表者を務める会社に徐々に移転しており、その頃には、請求人の母は高齢であり、介護保険制度上の要介護・要支援の認定を受け、旅館において具体的な業務に従事していなかったことからすれば、遅くともその頃には、旅館に係る事業を請求人が主体的に行っていたと認められる。また、金融機関に差し入れた書面は資金調達目的で作成して提出されたものであり、その記載が虚偽のものであることをうかがわせるような事情も見当たらないことからすると、作成時において、請求人が旅館の経営主体であることを対外的に明らかにしたものであるということができる。そして、旅館業と飲食店営業の各許可は、母から請求人に変更する申請がされており、実際にも旅館に係る売上げは請求人が自由に処分できる請求人名義の口座等に入金されており、請求人は、旅館の売上げを管理していたということができる。以上のことから、請求人は家業の従事者に留まらず、旅館の経営方針の決定について支配的影響力を持つ経営者であったと認められ、旅館から生ずる収益を享受していたのは、経営者である請求人であるということができる。したがって、旅館の売上げは請求人に帰属する。(令5. 7.14 大裁(所・諸)令5-1)
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 令030023
- 裁決年月日
- 令和4年3月23日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人とその母は、共同出資者として50%ずつ暗号資産に出資したから、暗号資産の交換(本件取引)による利益(本件利益)はあん分すべきである旨主張する。しかしながら、①母が共同出資者となり暗号資産交換取引等を行うように請求人に依頼したと認められる証拠はないこと、②請求人が暗号資産交換取引等を行うに当たり母が具体的に指図していたというような事情も見当たらないこと、③請求人が行った暗号資産交換取引等について、請求人と母との間で、その利益や損失の分配に関する取り決めが行われたと認めるに足りる証拠もないこと、④暗号資産交換取引等による利益の全額を請求人の所得として、所得税等の申告をしたことなどを踏まえると、本件取引は、請求人が資金を調達し、請求人自身の判断と責任で原資を出えんして行っていたとみるのが自然であり、本件取引は全て請求人が行っていたと認められるから、本件利益は全て請求人に帰属する。(令4.3.23関裁(所)令3-23)
- 支部名
- 広島
- 裁決番号
- 令010012
- 裁決年月日
- 令和2年3月26日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、自らの事業所得として申告した飲食業(本件事業)に係る所得について、請求人ではなく、本件事業に係る売上げが入金される請求人名義の預金通帳等(本件口座)を預けていた法人(本件法人)に帰属するものである旨主張する。しかしながら、請求人は、本件事業を行うための営業許可等の名義人であり、本件事業に係る経費は、請求人が現金で直接支払うか、請求人了承の下に本件口座から出金されていることからすると、本件事業に係る資金を管理していなかったとは言い切れないことに加え、本件口座から請求人の所得税等が引き落とされるなど、請求人がその利益を処分していたものと認められる一方、本件口座から出金された使途不明の現金を本件法人が取得したと認められる証拠はなく、また、請求人が従業員の採用、従事管理、業務上の指示、報酬の支払を行っていたことからすれば、請求人が本件事業を遂行していたと認められるところ、以上を総合すると、請求人は、本件事業の事業主であり、その収益を享受する者と認められる。(令2. 3.26 広裁(所)令元-12)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平300132
- 裁決年月日
- 令和元年5月7日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、他の者の指揮命令の下に貸金業に従事していたのであって、当該貸金業に必要な資金を調達して支配的影響力を有し、貸金業から生ずる収益を享受していたのは他の者である旨主張する。しかしながら、貸金業から生ずる収益を享受する者が誰であるかは、所得税法第12条《実質所得者課税の原則》の趣旨に鑑み、単に貸金業登録の名義や申告の有無だけで判断するのではなく、事業資金の調達・管理、利益の管理・処分状況、従業員の雇用等、貸付けの実行、貸付条件及び貸付方法の決定等事業の運営に関する諸事情を総合的に勘案して判定すべきである。そして、請求人は、貸金業に係る事業資金の管理、利益の管理・処分、従業員の雇用等、貸付けの実行、貸付条件や貸付方法の決定のほか、貸付先との示談又は和解等をも行い、貸金業を運営していたと認められることなどを総合的に勘案すれば、当該貸金業から生ずる収益を享受する者は請求人であったと認められる。(令元.5.7 東裁(所・諸)平30-132)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平300031
- 裁決年月日
- 平成30年11月13日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401020
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/2他人名義による不動産の貸付
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人らは、所有する建物と同一敷地内にある駐車場の使用料について、請求人らが建物の管理を委託する同族会社が受け取っているから、当該駐車場の使用料については当該同族会社に帰属する旨主張する。しかしながら、当該同族会社は、当該建物の賃貸料と当該駐車場の使用料について、貸付先に一括請求してその支払を受けており、また、当該建物と当該駐車場は、同一の敷地内にあり同時に管理することが容易であることを考慮すると、当該同族会社は、請求人らから当該駐車場の管理の委託も受け、請求人らを代理して当該駐車場の使用料を受け取っていたというべきであり、その受け取った賃貸料及び使用料は請求人らに引き渡されるべきものであるから、当該駐車場収入についても請求人らに帰属する。(平30.11.13 大裁(所・諸)平30-31)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平300022
- 裁決年月日
- 平成30年10月3日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401020
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/2他人名義による不動産の貸付
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人が所有し、駐車場(本件各駐車場)として賃貸していた土地(本件各土地)について、請求人とその子らとの間において締結した本件各土地を使用貸借する旨の契約(本件各使用貸借契約)及び本件各土地上のアスファルト舗装等を贈与する旨の契約(本件各贈与契約)により、本件各土地の賃貸人としての地位が請求人からその子らにそれぞれ移転したから、本件各駐車場に係る所得は請求人の子らに帰属する旨主張する。しかしながら、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約に係る各契約書(本件各契約書)には、請求人の意思に基づく署名・押印があるものの、?本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約については、本件各土地の所有権を請求人に留保したまま、その使用収益権原のみを相応の対価を発生させることなく請求人の子らに移転する方法として採られたものと認められること、?請求人は、原処分調査において、本件各契約書については一貫して知らない旨申述しており、本件各契約書の作成事実を認識していなかったと認められること、?本件各土地を巡る一連の取引は、請求人の子から相続対策の相談を受けていた税理士法人が企図し、本件各契約書の書式も当該税理士法人が作成したものと認められること等からすると、請求人は、本件各契約書の内容を確認することがなかったため、その内容を全く認識していなかった可能性が高い。そうすると、本件各契約書に請求人の意思に基づく署名・押印があるとしても、本件各契約書の内容自体が請求人の意思に基づくものとの推定は働かないから、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約が請求人の意思に基づいて成立したものとは認められない。したがって、本件各駐車場に係る所得は、その貸主名義にかかわらず、いずれも本件各土地の所有者である請求人に帰属するというべきである。(平30.10. 3 大裁(所)平30-22)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平290075
- 裁決年月日
- 平成30年5月14日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№111
要旨
○ 請求人は、請求人が代表権を有する法人から請求人の家族に支給された給与等(本件各金員)は、当該支払を受けた各家族に帰属する所得である旨主張する。しかしながら、当該家族が当該法人に役務の提供等を行った事実はないこと、当該家族以外の理事には給与の支払がなく、当該家族が理事を解任された後も給与が支払われていたこと、さらには、本件各金員は、請求人が管理する当該家族名義の預金口座に振り込まれていたことからすると、本件各金員は、当該家族への給与等とは認められず、請求人に帰属する。また、原処分庁は、請求人の元妻名義の不動産(本件不動産)の賃料(本件賃貸料)について、本件不動産の所有者及び賃貸人が実質的には請求人であり、本件賃貸料が振り込まれた元妻名義の預金口座を請求人が管理していたことなどから、本件賃貸料は請求人に帰属する旨主張する。しかしながら、本件不動産の所有者及び賃貸借契約に係る賃貸人の名義はいずれも元妻であり、本件不動産の取得資金は元妻が借り入れたものであるほか、請求人が本件不動産をその取得当初から所有していたとは認められないことなどからすると、本件賃貸料は請求人に帰属するのではなく、元妻に帰属するものと認められる。さらに、原処分庁は、請求人の元妻に支払われた個人年金保険に係る個人年金(本件年金)について、元妻が当該個人年金保険に係る保険料を振り込むことは困難であったこと及び本件年金が振り込まれた元妻名義の預金口座を請求人が管理していたことなどから、本件年金は、請求人に帰属する旨主張する。しかしながら、本件年金の契約上の受取人は元妻であるから、本件年金の正当な受給権利者は元妻であると推定される。そして、当該推定を覆すに足りる証拠はないから、本件年金は元妻に帰属するものであって請求人に帰属するものとは認められない。(平30. 5.14 大裁(所)平29-75)
- 支部名
- 広島
- 裁決番号
- 平280006
- 裁決年月日
- 平成28年11月15日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№105
要旨
○ 原処分庁は、飲食店事業(本件事業)に係る営業許可及び各契約等の名義人が請求人であること、並びに請求人が本件事業に係る開業届出書及び所得税の期限後申告書を原処分庁に提出していることなどを総合すれば、請求人が、本件事業から生ずる収益を享受している旨主張する。しかしながら、請求人は、ともに本件事業に従事しているGの依頼に応じて当該各契約等を自らの名義に変更したにすぎず、Gは、請求人名義に変更後も本件事業の資金管理を行い、本件事業から生ずる利益を処分し、従業員の雇用、労務管理を含む本件事業の運営を行っており、加えて、請求人とGとの間で、Gが従業員の立場で当該運営を行う旨の特段の合意があったとは認められないことからすると、本件事業から生ずる収益を享受しているのは、請求人ではなくGであると認められる。(平28.11.15 広裁(所・諸)平28-6)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平250055
- 裁決年月日
- 平成26年5月14日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、義父に依頼されて酒類等の自動販売機による小売業(本件事業)を無報酬で手伝っているだけであるなどとして本件事業に係る所得は請求人に帰属しない旨主張する。しかしながら、請求人は、①自己の判断で、酒類卸業者の変更、仕入商品及び仕入数量を判断し、酒類の発注を行ったこと、②酒類及びたばこ販売機に係る売上金を回収し、自己が管理する口座にその一部を入金し、また、酒類及びたばこ仕入代金を当該口座から支払ったこと、③飲料販売機に係る販売手数料の一部が義父名義口座に振り込まれていたが、当該口座に係る使用済み通帳を所持し、当該口座を自己の管理下に置き、義父名義の借名口座として使用していたものとみることができること、④義父に何らの相談・報告を行うことなく、取引先の選定及び変更、仕入取引の開始時期並びに発注に係る仕入商品の種類及び数量の各判断、義父名義口座及び請求人口座に係る入出金管理、並びに、仕入れに係る各種のトラブルの対応等について意思決定を行っており、その一方で、義父に何らの収支報告を行っていないこと等が認められる。そうすると、請求人は、本件事業の経営者として、本件事業を支配管理し、その収益を自己に帰属させていたものと優に認められるから、本件事業に係る所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。(平26. 5.14 大裁(所・諸)平25-55)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平250009
- 裁決年月日
- 平成25年7月8日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、①請求人は、本件覚書(著作権の譲渡等に関して、請求人、甲社及び乙社を当事者とする覚書)において、当該著作権の全部が請求人に帰属することを保証した上で、当該著作権の2分の1を乙社に対して譲渡していること、②本件覚書に記載された当事者には、特定個人Aや特定個人Aが代表取締役を務める法人(丙社)等は含まれていないことなどから、請求人は、本件覚書の締結時において、当該著作権の全部について所有しているとの認識があったものと認められるので、請求人と特定個人Aを当事者とする平成18年の覚書(平成18年覚書)により、当該著作権の持分3分の1を特定個人A側に譲渡(平成18年持分譲渡)していない旨主張する。しかしながら、所得税法第12条《実質所得者課税の原則》又は法人税法第11条《実質所得者課税の原則》に要旨規定する「資産から生ずる収益は、これを享受する者に帰属する」又は「資産から生ずる収益は、これを享受する法人に帰属する」の判定は、資産から生じる収益の基因となる真実の権利者が誰であるかにより行うことが相当であると解されるところ、①請求人と特定個人Aが平成17年7月及び9月に作成した覚書(平成17年各覚書)は、当該著作権を譲渡する契約の締結を前提としていること、②請求人と特定個人Aとの間で、実際に当該契約に当たる平成18年覚書に係る合意がされていること、③実際に、丙社は、平成17年各覚書及び平成18年覚書記載の金銭をその支払期限までに請求人の銀行口座に入金していることに加え、請求人及び特定個人Aが当審判所に対して平成18年持分譲渡が真意に基づくものである旨答述していることからすると、平成17年各覚書及び平成18年覚書に係る各合意は、いずれも通謀虚偽表示であるとは認められず、有効なものである。したがって、本件覚書の作成時点において、平成18年譲渡持分の真実の権利者は、特定個人A又は丙社であると認められる。(平25. 7. 8 東裁(所)平25-9)
- 支部名
- 高松
- 裁決番号
- 平240006
- 裁決年月日
- 平成24年12月4日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401990
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/8その他
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№89
要旨
○ 請求人は、賃貸物件である各建物(本件各建物)の登記名義人及び賃貸借契約(本件各賃貸借契約)の賃貸名義人は請求人となっているが、本件各建物は請求人から請求人を代表取締役とする同族会社(本件法人)に譲渡したものであり、本件各建物の実質的な所有者は本件法人であるから、本件各賃貸借契約に基づく賃貸料収入(本件賃貸料収入)は本件法人に帰属する旨主張する。しかしながら、本件各建物の所有権の登記名義人を本件法人とすることができない特段の事情はなく、本件各建物の真実の所有者は請求人であるとの推定を覆す合理的な根拠も見当たらない上、本件各建物の本件法人への譲渡もその取引としての実態が存在しない。また、本件各賃貸借契約の賃貸名義人を本件法人とせず、請求人として締結しており、本件各賃貸借契約の賃貸人を本件法人に変更できない特段の事情も見当たらないことから、本件各賃貸借契約の真実の賃貸人は請求人であると認められる。したがって、本件各建物の真実の所有者及び本件各賃貸借契約における真実の賃貸人は、いずれも請求人であると認められるから、本件賃貸料収入は請求人に帰属する。(平24.12. 4 高裁(所)平24-6)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平240108
- 裁決年月日
- 平成24年11月29日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401060
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/6他人名義による土地等の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集№89
要旨
○ 原処分庁は、①請求人が平成17年にした本件不動産による代物弁済はねつ造された金銭消費貸借契約証書に基づく債権債務を前提とするものであり、②平成20年にされた本件不動産の売買契約(本件売買契約)の当事者は、形式的には請求人の長男が主催する法人(本件法人)となっているとしても、実質的には本件不動産の真実の所有者である請求人であるから、③本件売買契約に係る売買代金(本件売買代金)は、請求人に帰属するものであり、請求人には、本件売買代金を収入金額とする平成20年分の譲渡所得が発生した旨主張する。しかしながら、本件売買契約を締結するに至った経緯等によれば、実際買主と交渉を行っていたのは請求人の長男であり、請求人が本件売買契約に関与した事実を認めることはできないし、原処分庁の上記①の主張は、民法上他人物売買が有効とされていることを正解しないものなどであって、採用することはできない。また、本件法人における本件売買代金の使途などからすると、請求人が本件売買代金を享受したと認めることはできない。したがって、請求人は、本件売買契約において本件不動産を譲渡した実質的な当事者ではなく、また、本件売買契約において本件法人を単なる名義人として利用し、その収益を享受した事実も認められないから、請求人には平成20年分の譲渡所得が発生したとは認められない。(平24.11.29 東裁(所)平24-108)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平240039
- 裁決年月日
- 平成24年8月21日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、海外に設立されたA社は請求人と独立した別人格であるから、A社名義で行われたB社株式の本件譲渡取引から生じた所得及びA社名義で出資し組成された組合が行った本件投資事業から生じた所得は、いずれも請求人に帰属しない旨主張する。しかしながら、①A社設立手続、②本件譲渡取引及び本件譲渡取引と同時期に行われたB社株式の取得取引、並びに③本件投資事業に係る出資取引における請求人の各関与の具体的態様などからすれば、本件譲渡取引及び本件投資事業に係る出資取引において、譲渡人又は組合員(出資者)であるA社は、単に名義又は形式上、譲渡人又は組合員(出資者)とされる者にすぎないのであって、当該各取引の収益の基因となる各資産の所有者は、請求人であるということができる。そうすると、本件譲渡取引及び本件投資事業から生じた各所得は、請求人に帰属するものとして所得税法の規定を適用するのが相当である。(平24. 8.21 東裁(所)平24-39)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平230045
- 裁決年月日
- 平成24年3月29日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、①当初の確定申告をした親族又は関係人が実質所得者であり、請求人が申告していた事業場を除き、請求人が、原処分庁において請求人が実質所得者であると認定した事業場の経営を行っていた事実は存在せず、請求人の経営によってその利益が請求人に帰属した事実も存在しない、②長男から請求人に対する支払は、学費等に関する貸付金の返済であって、請求人の利益とはならない、③関係人から請求人に対する支払は、その関係人の事業場の開業資金に係る融資の返済であって、請求人の利益とはならないなどの主張をするが、三男が申告していた事業場については、本件各年分の同事業場の経営に係る利益は全て請求人に帰属するものというべきであり、次男及び四男が申告していた事業場については、平成18年4月以前のその経営に係る利益は全て請求人に帰属し、平成18年5月以降のその経営に係る利益は長男に帰属するものの、長男から請求人に支払われた分配金は請求人に帰属するものというべきであり、長男が申告していた事業場については、平成17年4月以前のその経営に係る利益は全て請求人に帰属し、平成17年5月以降のその経営に係る利益は長男に帰属するものの、請求人に支払われた分配金は請求人に帰属するものというべきであり、また、長男が申告していた又は長男が経営していると認定した他の2か所の事業場についてはその経営に係る利益のうち請求人に支払われた分配金については、請求人に帰属するものというべきである。また、請求人が長男の学費等を支出したことについて、請求人が長男に対して学費等に関する貸付けをしていたものということはできず、長男からの分配金の支払が、当該貸付けに対する返済であると認めることはできないし、請求人の関係人からの分配金の取得についても、請求人の貸付金に対する関係人からの返済であったと認めることはできない。(平24. 3.29 大裁(所・諸)平23-45)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平200111
- 裁決年月日
- 平成21年1月14日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 業種
- その他事業の部(病院)
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、事務長が本件クリニックの経理事務、人事管理など事務全般を管理するとともに実質的に支配し、かつ、利益のほとんどを享受していたのであるから、本件クリニックの実質的な経営者は事務長であり、本件クリニックから生ずる所得は事務長に帰属すると主張する。しかしながら、請求人が、本件クリニックの経営者であったか否かについて、本件クリニックに係る事業の遂行に際して行われる法律行為の名義、当該事業への出資の状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況等に照らし検討すると、①請求人は、本件クリニックの設立に当たり、請求人自らが開設者となることについては、請求人が医師の国家資格を有していないことから医療法上の制約があるため、歯科医師に開設者兼管理者となることを依頼して、本件クリニックの運営を企画したこと、②本件クリニックに係る建物等の賃貸借契約、薬品会社との取引契約はいずれも請求人が契約当事者であること、③本件クリニック設立に当たっての出資については、請求人以外の者からの出資の事実は認められないこと、④請求人が、歯科医師の去就に関する指揮命令をしていること、⑤請求人が海外渡航のための費用を事務長を介して本件クリニックの売上金から調達していたことや請求人の家族のために本件クリニックの売上金から積立てをしていたことは、請求人から事務長に対する指示であると強く推認されること並びに⑥本件クリニックにおける金銭トラブルについて、本件クリニックの売上金が請求人に帰属することを前提に処理が進められていたこと等に照らせば、①事業の遂行に際して行われる法律行為の名義は、請求人名義で行われ、②事業への出資者は請求人のみであり、③本件クリニックの売上金の管理については、一次的に事務長が行っていた事実はうかがえるものの、その最終的な処分権限ないし収支の管理は、飽くまで請求人が有していたものと優に推認されるところであり、また、④従業員の採用や解雇を含む本件クリニックにおける最終判断権限も請求人が有し、本件クリニックにおける指揮監督系統も、請求人から各医師ないし事務長らに行われていたと認められるところである。以上によれば、請求人が本件クリニックの経営者であると認められる。(平21. 1.14 東裁(所・諸)平20-111)
- 支部名
- 仙台
- 裁決番号
- 平200004
- 裁決年月日
- 平成20年11月5日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401060
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/6他人名義による土地等の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、本件土地等の売買契約書は、請求人の売却の意思を確認した上で作成されたものであり、その代金は請求人名義の銀行預金口座に入金され管理、費消されていることから、名義及び実質とも本件土地等の所有者は請求人であったと認められ、その譲渡所得は請求人に帰属するから、更正をすべき理由がない旨の通知処分は適法である旨主張する。しかしながら、請求人の夫から請求人への本件土地等の贈与登記は、請求人夫婦の老人ホームへの入居費用等を調達するために、意思能力のない請求人の夫の不動産売却のための便法として形式的になされたものと判断され、本件土地等の売却代金の大部分は、入居費用等のために費消されていることが認められるので、本件売却代金が請求人及び三女名義の預金で管理されたとしても、請求人の夫が真の所得の帰属者と認定することの妨げにはならないというべきである。したがって、本件土地等を譲渡した者が請求人であることを前提として行われた本件通知処分は適法性を欠くこととなるから取り消すべきである。(平20.11. 5 仙裁(所・諸)平20-4)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平190206
- 裁決年月日
- 平成20年6月16日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、実質所得者課税の原則により、請求人が経営する法人の費用は、請求人の所得計算上必要経費に算入されるべきである旨主張する。しかし、所得税法第12条は、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する旨規定しているところ、ここにいう収益を享受する者とは、その収益を受けるべき正当な権利者をいうものと解されるから、事業から生ずる収益の場合、その収益の基因となる事業を経営していると認められる者がだれであるかにより判定すべきである。これを本件についてみると、①有限会社法に基づく正式な手続を経て設立された法人が営業を行っていたこと、②店舗に係る営業許可、建物賃貸借契約、設備機器等のリース契約、水道光熱費等の各種経費の支払及び銀行取引は、いずれも有限会社名義ないし各店舗の名義によって行われていたこと、③有限会社が総勘定元帳を設け、記帳していたこと、④有限会社社名義で源泉徴収票を発行していたこと、⑤各事業年度において、有限会社の所得として、法人税の確定申告をしていること、⑥事業の廃止後に清算確定申告書を提出していることが認められ、これらの事実によれば、本件各店舗に係る事業は会社の経営であるということができる。したがって、請求人の主張には理由がない。(平20. 6.16 東裁(所)平19-206)
- 支部名
- 広島
- 裁決番号
- 平190036
- 裁決年月日
- 平成20年5月28日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人名義の風俗営業について、単なる名義人であり、当該営業に係る収益を享受しておらず、当該営業の実質経営者は第三者であるから、当該営業から生ずる収益は第三者に帰属する旨主張する。しかしながら、①当該営業に係る法律上の名義はすべて請求人であり、当該営業に係る事業所得の金額を請求人が申告していること、②請求人が当該営業の従業員等に指示して当該営業の収支の管理を行っていたこと、③当該営業の売上残金が請求人の指示に基づき請求人名義等の普通預金口座に振り込まれ、その一部が請求人に交付されていること及び④当該営業の従業員に対する指揮監督は請求人が行っていたことが認められ、これらのことからすれば、当該営業の経営主体としての実体を有する者は請求人であり、当該営業を経営している者は請求人である。また、請求人が主張する第三者が当該営業の収支を管理し、当該営業の従業員を指揮監督したとは認められず、請求人が当該営業の売上残金を当該第三者に渡したことを証する書類として提出した手帳の記載内容は信用することができず、手帳に記載された金員が当該第三者に渡されたと認めることはできないから、請求人の主張には理由がない。(平20. 5.28 広裁(所・諸)平19-36)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平190021
- 裁決年月日
- 平成19年9月3日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 業種
- サービス業(その他の遊技場)
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、原処分庁が、請求人がゲーム喫茶等を営んだとする各店舗は、ゲーム喫茶等として利用されていた事実はあるが、当該各店舗の一部については、請求人又は請求人が代表を務める法人が賃借していたが、これらの各店舗はいずれも転貸していたものであり、請求人は当該各店舗でゲーム喫茶を経営したことはない。 また、上記以外の各店舗については、請求人及び請求人が代表を務める法人のいずれも、これらの店舗を賃借すらしていない。 したがって、請求人は、ゲーム喫茶等の事業を一切行った事実はなく、原処分庁は事実を誤認している旨主張する。 しかしながら、いずれの店舗についても、①請求人が実質的な賃借人であること、②請求人以外に店舗を転貸した事実が認められないこと、③ゲーム喫茶等として利用されていたことからすると、請求人が同店舗において、ゲーム喫茶等を営んでいたとするのが相当である。 さらに、本件各店舗における事業の収支を請求人が管理していたことが窺われること、②本件各店舗の経営に対する相当の影響力が窺われること、③請求人は、本件各店舗における利益を享受していることを併せ考えると、本件各店舗のいずれの店舗についても、請求人をこれらの店舗の実質的な経営者と認めるのが相当である。 したがって、請求人は、少なくとも本件各店舗において、本件各年分を通じ事業を行っていたものであり、その事業に係る所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。 (平19. 9. 3 東裁(所)平19-21)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平180041
- 裁決年月日
- 平成18年12月18日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人の妻Aはパチンコ店の開業に当たっての名義人である他、開業準備、日常業務、収入の管理及び従業員の採用等を行っていたことから、実質的にもパチンコ店の経営者であり、また、所得税法第12条は、法形式を利用して租税回避を行い、納税義務を免れんとする不当な納税者に対してのみ適用すべきであり、請求人には、租税負担を免れようとした形跡は全くなく、租税回避の動機が存在しない本件の場合には適用できない旨主張する。 しかしながら、所得税法第12条に規定する事業から収益を享受する者とは、事業による収益を実質的に支配しているか否かで判断すべきであり、収益の実質的な支配者がだれであるかは、当該事業に関する名義人と名義人以外の者の能力、関与の程度、収益の管理状況等を総合勘案して判断すべきである。本件においては、Aがパチンコ店の事業に係る各種の名義人になり、日常業務に従事している事実は認められるものの、請求人は、パチンコ店の開業場所の確保、駐車場用建物の契約、開業資金の調達、改築工事を主導的に行い、地元住民対策及び自動玉配給装置の工事の契約を主体的に行い、更に、従業員の採用の決定や、売上金を管理し、自らが仮名預金等の口座開設にかかわっていたことなどが認められ、このことを総合勘案すると、パチンコ店の経営について支配的影響力を持っていたのは請求人であり、パチンコ店からの収入に係る所得は請求人に帰属するとみるのが相当である。なお、所得税法第12条は、租税回避行為への対処を目的としてのみ設けられたものではなく、課税の公平、適正を期するため、その基礎となる所得の帰属についての表見的な他の法律上の形式又は効果にかかわらず、実質的な経済効果に着目し、その効果を現実に享受する者を税法上の所得の帰属者として課税しようとするものであり、請求人の主張は採用できない。(平18.12.18 大裁(所)平18-41)
- 支部名
- 高松
- 裁決番号
- 平170030
- 裁決年月日
- 平成18年6月21日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401030
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/3他人名義による金銭の貸付
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 貸金業を営む請求人は、過去に貸金業を営んではいたが、原処分に係る本件各年分においては、請求人は貸金業の登録を行っておらず、貸金業の登録を受けていた甲に営業譲渡したものであり、甲は本件貸金業の確定申告も行っていることから、本件各年分の本件貸金業による所得は請求人には帰属しない旨主張する。 しかしながら、本件においては、請求人が資金拠出を行っていること、甲は貸金業に係る重要な事項について請求人に報告、相談していること、請求人から営業譲渡に関する契約書等の証拠資料の提出がないことなどから営業譲渡があったとは認められないことなどからすると、請求人が、本件貸金業の事業主であると認めるのが相当であり、本件各年分の本件貸金業に係る収益は請求人に帰属する。(平18. 6.21 高裁(所)平17-30)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平170171
- 裁決年月日
- 平成18年5月12日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件クリニックの経営者は本件各医師である旨主張するが、本件各医師は、本件クリニックにおける社会保険診療報酬の振込みを受けるために開設されていた本件各診療報酬口座の開設の事実を承知しておらず、診療報酬がいくら振り込まれていたのかも知らなかった旨答述していることからすれば、本件各診療報酬口座は、請求人により支配管理されていたものと見るのが相当であること、また、本件各医師が本件クリニックに係る入出金にはまったく関与していなかった旨答述していることからすれば、本件クリニックにおける入出金に関しては、請求人の管理下にあったものと見るのが相当であることなどから、本件クリニックの実質的な経営者は、請求人であって、本件各医師は、請求人に雇われた立場で、本件クリニックに係る医療法上の開設者兼管理者の地位にあったものとして、本件クリニックでの診療に従事していたものと見るのが相当である。したがって、本件クリニックの収益は請求人に帰属するものと認められる。(平18. 5.12 東裁(所・諸)平17-171)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 平160108
- 裁決年月日
- 平成17年6月2日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件クラブに係る平成12年分及び平成13年分の収益は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく風俗営業を許可された者(以下「本件名義人」という。)に帰属する旨主張する。しかしながら、①店舗の賃貸借契約の賃借人が請求人から本件名義人に変更等がされたとする客観的な証拠がなく、店舗の賃借人は請求人と認められること、②請求人が本件名義人に営業譲渡をしたことを明らかにする客観的な証拠がなく、請求人が営業譲渡の条件としたと主張する本件クラブの開業資金として借り入れた金員の本件名義人による返済についても、本件名義人がかかわっていたとは認められないこと、③経営の根幹ともいうべきタレントの招へい、酒の仕入れ等について本件名義人が関与しておらず、請求人が行っていたと認められることから、本件クラブに係る確定申告書が本件名義人名義で提出されていたとしても、本件名義人は単なる名義人であって、本件クラブに係る収益は請求人に帰属するとみるのが相当であり、請求人の主張には理由がない。(平17.6.2名裁(所・諸)平16-108)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 平150089
- 裁決年月日
- 平成16年6月17日
- 裁決結果
- 全部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 原処分庁は、他の眼科医が診療を行っている診療所に係る事業所得は、実質所得者課税の原則に基づき、当該診療所の経営に支配的影響力を有し、当該診療所の実質的経営者と認められる請求人に帰属すると主張する。しかしながら、原処分庁は、請求人が当該診療所に係る収益を享受している事実を立証しておらず、また、当該診療所の医療法に基づく開設届は他の眼科医名で行われており、健康保険法に規定する保険医療機関の指定も他の眼科医名で知事から受けるとともに、当該診療所に常務して診療を行っているのは他の眼科医であることなどを考慮すると、当該診療所に係る事業所得は請求人に帰属するものではなく、他の眼科医に帰属するものと認められる。したがって、原処分庁の主張には理由がない。(平16.6.17名裁(所・諸)平15-89)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平140044
- 裁決年月日
- 平成15年1月15日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401060
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/6他人名義による土地等の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集No.65・67ページ
要旨
○ 請求人は、請求人の長男名義で取得した本件物件について、長男は名義を貸していただけで、本件物件の取得から譲渡に至るまでの各手続をすべて請求人が行っていたことから、本件物件の実質所有者は請求人であり、長男と和解調書が作成されていることからも、本件物件の譲渡損失は請求人に帰属するから、更正の請求を認めるべきである旨主張する。しかしながら、請求人が本件物件の実質所有者であるという直接的な証拠はなく、本件物件の取得、本件物件を取得するための借入金、本件物件の所有権保存登記及び本件物件の賃貸に伴う不動産所得の申告等がすべて長男名義でされており、本件和解により、過去の長男名義で借入れた事実、長男名義で購入した事実、長男名義で登記した事実、賃借料収入から本件借入金を返済した事実及び長男名義で申告した事実が是正されたわけでもないから、本件和解は、単に、本件物件の所有者であった長男の本件借入金の名義人を変更することが馴れ合い的に合意されたに過ぎないものであり、また、請求人が平成11年分の所得税の更正の請求をするため、和解調書が作成されたものと推認せざるを得ない。したがって、本件物件は、長男の所有と認められることから、本件損失額は長男に帰属することとなり、請求人の主張は採用することができない。(平15.01.15.大裁(所)平14-44)
- 支部名
- 沖縄
- 裁決番号
- 平130009
- 裁決年月日
- 平成14年5月8日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401060
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/6他人名義による土地等の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件土地には登記簿上も丙と共有名義の土地が存在しており、丙も各々2分の1の共有と認識し、同意の上譲渡したものであるから、譲渡代金も各々2分の1にするべき旨主張するが、原処分関係資料及び当審判所の調査によると、(1)本件土地の購入資金の借り入れは、丙を借主と認定するに足る証拠がないこと、(2)丙は、一貫して本件土地の譲渡契約への関与を否定し、かつ請求人に譲渡代金の分配を求めていないこと、(3)請求人の主張には一貫性がないこと、(4)請求人は平成9年分の確定申告書及び同修正申告書において本件土地譲渡代金の全額を収入に計上していることなどから本件土地は請求人に帰属ししたがって、その譲渡代金の全額が請求人に帰属するとした原処分は相当である。(平14. 5. 8.沖裁(所)平13-9)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 平130059
- 裁決年月日
- 平成14年4月15日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、被相続人が行った株式取引は家族からの委任を受けて行ったのであり、家族名義による株式取引の売買益はその名義人に帰属し、被相続人には帰属しない旨主張する。しかしながら、(1)家族名義の現物取引に係る株式購入資金の大半は被相続人名義の銀行からの借入金によるものであること、(2)被相続人は株式取引の重要事項である売買注文、銘柄の選定及び売買時期の決定を独断で行い株式を事実上支配管理していること、(3)家族名義の株式取引から生じた利益は被相続人が家族名義の定期預金等に分散して管理しており、その利益は被相続人が享受していると認められる。したがって、家族名義による株式取引はすべて被相続人が独自の裁量で行っていたのであって、これから生じた所得は被相続人に帰属する。(平14. 4.15名裁(所)平13-59)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 平130060
- 裁決年月日
- 平成14年4月15日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人の夫である被相続人の父が行った被相続人名義の株式取引は被相続人から委任を受けて行った取引であり、被相続人名義の株式取引は被相続人に帰属すると主張する。しかしながら、(1)被相続人名義の株式を現物取引により購入したときの資金の大半は被相続人の父名義の銀行からの借入金によるものであること、(2)被相続人の父は株式取引の重要事項である売買注文、銘柄の選定、売買時期の決定を独断で行っていること、(3)株式取引から生じた利益は被相続人の父が被相続人名義の定期預金等を作成し保管及び運用するなど、株式取引から生じた利益はすべて被相続人の父の支配下にあり、株式取引が被相続人の父の管理と計算の下に行われたものであることが明らかであることから、被相続人名義の株式取引は被相続人の父に帰属する。(平14. 4.15名裁(所)平13-60)
- 支部名
- 名古屋
- 裁決番号
- 平130061
- 裁決年月日
- 平成14年4月15日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、請求人の父が行った請求人名義の株式取引は請求人から委任を受けて行った取引であり、請求人名義の株式取引は請求人に帰属すると主張する。しかしながら、(1)請求人名義の株式を現物取引により購入したときの資金の大半は請求人の父名義の銀行からの借入金によるものであること、(2)請求人の父は株式取引の重要事項である売買注文、銘柄の選定、売買時期の決定を独断で行っていること、(3)株式取引から生じた利益は請求人の父が請求人名義の定期預金等を作成し保管及び運用するなど、株式取引から生じた利益はすべて請求人の父の支配下にあり、株式取引が請求人の父の管理と計算の下に行われたものであることが明らかであることから、請求人名義の株式取引は請求人の父に帰属する。(平14. 4.15名裁(所)平13-61)
- 支部名
- 広島
- 裁決番号
- 平120006
- 裁決年月日
- 平成12年7月7日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 所法第12条は、所得の帰属につき、形式と実質が相違している場合には、実質に則して所得の帰属を判定すべき旨規定しているところ、業務A又は業務Bに係る報酬の帰属についても、単にこれを経理処理の状況等の外観から形式的に判断するのではなく、各業務の嘱託契約の実質に則し、当事者の合理的な意思に合致するところにしたがって、真実の帰属を判定することが相当であると解される。本件についてみると、個々の顧客との間の業務Aの嘱託契約の内容を直接的に認定するに足りる証拠は見当たらないものの、提携先である(第三者の)法人が顧客として事務を嘱託した場合には、業務Aに係る報酬を支払うに当たり、請求人のために所得税を源泉徴収しているほか、当該法人以外にも同様に所得税の源泉徴収をしている顧客があることが認められることからすると、少なくとも、これらの顧客においては、請求人が設立した法人に対してではなく、請求人個人に対して報酬を支払うという認識を有していたことが推認される。また、本件業務A報酬に係る請求書及び領収証には、業務Aの肩書きを付した請求人の名が表示され、請求人が業務上使用する職印が押印されていることからすると、その発行者は請求人個人であると認められる。また、請求人が設立した法人において本件各業務報酬を受け入れるに当たり、請求人ら各資格者ごとに区分して経理がなされていることは、本件各業務報酬が請求人ら各資格者個人に対して支払われたという請求人ら自身の認識の反映とみることが自然である。さらに、業務A又は業務Bは、顧客に損害を与えた場合には、顧客との間に成立している信任関係に基づき、個人として賠償責任を負うのであるから、そうした責任を負う反面として、業務報酬も当該業務の嘱託を受けた個人に帰属させることが合理的であることを考え併せると、顧客から嘱託を受けるに当たっては、請求人ら各資格者と顧客との間で、当該各資格者に報酬が帰属することを内容とする嘱託契約が締結されていたものと認めるのが相当である。そうすると、本件各業務報酬は、請求人が設立した法人にではなく、当該業務の嘱託を受けた請求人ら各資格者にそれぞれ帰属するものと認められる。(平12.7.7広裁(所・諸)平12−6)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平110064
- 裁決年月日
- 平成12年1月25日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401010
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/1他人名義による事業
- 事例集登載頁
- 裁決事例集 №59・67ページ
要旨
○ 請求人は、医療法及び薬事法の規制により、請求人の営む眼科医院とコンタクトレンズ等の販売事業(以下「本件事業」という。)とを分離し、その経営者及び申告者名義を請求人の妻としたのであるから、租税回避を目的として制定された所法第12条の適用はなく、本件事業の収益は請求人の妻に帰属する旨主張する。しかしながら、本件事業は、眼科医院とその経営が明確に分離されているとは認められず、請求人がその経営方針の決定等について支配的影響力を有していること、また、所法第12条は、その基礎となる所得の帰属について表見的な他の法律上の形式又は効果にかかわらず、実質的な経営効果に着目し、その効果を現実に享受する者を税法上の所得の帰属者として課税しようとするものであり、他の法律上無効又は取り消し得べき行為であっても、その行為に伴って経済効果が発生している場合には、その効果を現実に享受する者について課税することは何ら妨げられないと解すべきであるから、本件事業の収益は、請求人に帰属する。(平12. 1.25大裁(所)平11-64)裁決事例集 №59・67ページ
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平110012
- 裁決年月日
- 平成11年9月14日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、家族名義による現物株式取引の売買益はその名義人に帰属するものである旨主張するが、請求人は、自ら家族名義の現物株式取引口座を開設するとともに、その株式取引についての知識や経験を活かし、請求人名義及び家族名義口座を管理運用していたことが認められる。そうすると、請求人名義及び家族名義口座での株式取引は、すべて請求人の取引であると判断するのが相当であり、同口座における株式取引による所得も、すべて請求人に帰属するといわざるを得ない。(平11. 9.14大裁(所)平11-12)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平100183
- 裁決年月日
- 平成11年6月17日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401020
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/2他人名義による不動産の貸付
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、本件建物の所有者はAである旨主張するが、本件建物の所有者はAである旨の表示登記はあるものの、①本件建物の建築確認通知書の写し及び建物検査済証の写しの建築主がともに請求人となっていること、②本件建物の建築請負契約及び工事代金の支払は請求人が行っていること、③本件建物が請求人からAに譲渡等された事実及びAの帳簿上本件建物が計上されている事実を確認することができないこと及び④Aは、法人登記はされていても、対外的に法人の存在を表示しているものがなく、所轄税務署長に対して確定申告書等関係書類を提出しておらず、当審判所に対して帳簿書類等の提出もなくその活動状況を確認することができず、法人としての実体がないものと認められることから、本件建物の実質所有者は請求人であると認められる。(平11. 6.17東裁(所)平10-183)
- 支部名
- 東京
- 裁決番号
- 平090163
- 裁決年月日
- 平成10年5月15日
- 裁決結果
- 棄却
- 争点番号
- 200401050
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/5うかい行為による土地等の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集No55・108ページ
要旨
○ 請求人は、本件土地建物をA社へ14,000,000円で譲渡(以下「本件第一取引」という。)した後、A社がBへ33,000,000円で譲渡(以下「本件第二取引」という。)したものである旨主張するが、(1)本件第一取引の契約書は、契約書としては重要な記載事項を欠いた極めて内容不備なものであり、後日、日付をさかのぼって作成されたものと認められること、(2)請求人からA社に対して本件土地建物の引渡しがあったと認められる証拠はないが、請求人からBに対しては登記済権利証が交付されていること、(3)請求人がBから33,000,000円を受領した事実は明らかであり、その受領した金銭の全額を、請求人が新たに取得した土地建物の取得資金に充てていると認められることから、請求人がA社を本件土地建物の譲受人として介在させて、本件第一契約書をもって実体のない本件第一取引を行ったごとく仮装し、さらにA社を譲渡人とし、Bとの間で本件第二契約書により譲渡人の名称が実体と異なる契約を行ったものであり、請求人が本件土地建物を33,000,000円でBへ譲渡したものと認めるのが相当である。(平10. 5.15東裁(所)平 9-163) 裁決事例集No55・108ページ
- 支部名
- 関東信越
- 裁決番号
- 平080072
- 裁決年月日
- 平成9年3月26日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 株式売買取引に係る資金が実質的に妻らの自己資金に基づくものであることを証する資料もなく、他に妻らが自己資金に基づいて株式等の売買取引を行っていたことを認めるに足りる客観的事実も認められない以上、株式等の売買取引は、生計を主宰している請求人が自己の責任と危険において、妻らの名義の口座を利用して行っていたと認めるのが相当である。(平 9. 3.26関裁(所・諸)平 8-72)
- 支部名
- 大阪
- 裁決番号
- 平080069
- 裁決年月日
- 平成9年2月27日
- 裁決結果
- 一部取消し
- 争点番号
- 200401040
- 争点
- 4所得の帰属/1実質所得者課税/4他人名義による株式の譲渡
- 事例集登載頁
- 裁決事例集には登載しておりません
要旨
○ 請求人は、A名義の有価証券取引は当該従業員に帰属するものであり、請求人には帰属しない旨主張する。しかしながら、(1)A名義の取引は当該従業員が行っていたものではないとのA本人及び各証券会社の担当者の供述は、具体的かつ詳細で一貫性があり、内容が相互に一致することから信用性が高いこと、(2)請求人はAからの借入金はあるものの、Aに対し、取引についての個別的報告又は借入元利金や立替金の精算を行っていた事実がないことなどから、A名義の取引がAに帰属するとは認められずむしろ、請求人がA名義を利用して自己の責任と判断により有価証券取引を行っていたと認めるのが相当である。(平 9. 2.27大裁 (所) 平 8-69)
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